バナナは世界中で最も消費されている果物ですが、現在危機的な状況にあります。
オーストラリア・クイーンズランド大学(UQ)の園芸科学センターに所属するジェーン・レイ氏ら研究チームが、治療法の見つかっていない「バナナを殺す病」が東南アジアで拡大していると報告しました。
既に、主流のキャベンディッシュ種を含む18種類のバナナが影響を受けており、早急な対処が必要になっています。
研究の詳細は、11月9日付の学術誌『Plant Disease』に掲載されました。
目次
「バナナを殺す病」が広がる
東南アジアで拡大し続けるバナナの病で、「安くて美味しいバナナ」の危機
「バナナを殺す病」が広がる
現在、バナナを殺す病「Banana Blood disease」が東南アジア全域に拡大しています。直訳すると、“バナナ血液病”になりますが、この名称には理由があります。
(以後Banana Blood diseaseをバナナ血液病と記載します)

(画像=Banana Blood diseaseの影響 / Credit:Jane Ray et al.,Plant Disease(2021)、『ナゾロジー』より引用)
バナナ血液病に感染したバナナは腐敗し、血を流しているような見た目になるのです。
果実が腐敗し、葉はしおれ、最終的には死んでしまいます。
しかも現在、バナナ血液病の治療法は確立されていません。
ではこの病はつい最近、見つかったものなのでしょうか?
実はそうではありません。バナナ血液病が最初に報告されたのは1905年のことです。
インドネシアのカユアディ島で見つかったバナナ血液病は、島のバナナ農園に深刻な影響を与え、オーナーは農園を放棄せざるを得なくなりました。
人々が早急にバナナの流通を制限したため、病をこの狭い島に60年間閉じ込めることに成功。
しかし、バナナ血液病の拡大は結局止められなかったようです。