世界の時価総額ランキングに異変が起きている。ここ数年は中国企業の躍進が目立っていたが、ここにきて中国企業がTOP10から姿を消したのだ。テンセント(Tencent)やアリババ(Alibaba)など、TOP10にランクインしていた企業に何が起きたのだろうか。

世界時価総額ランキング、2020年末と現時点で比較

まず、2020年末時点と現在(2021年11月28日)の時価総額ランキングを比較してみよう 。2つのランキングを見ると、中国企業がトップ10から姿を消していることがわかる。テンセントとアリババに注目して比較してほしい。

<2020年末の世界の企業の時価総額ランキング>
順位 企業名
1位 アップル アメリカ
2位 サウジアラムコ サウジアラビア
3位 マイクロソフト アメリカ
4位 アマゾン アメリカ
5位 アルファベット(Google) アメリカ
6位 フェイスブック アメリカ
7位 テンセント 中国
8位 テスラ アメリカ
9位 アリババ 中国
10位 バークシャー・ハサウェイ アメリカ
出典:Think180around(www.180.co.jp)
<2021年11月28日時点の世界の企業の時価総額ランキング>
順位 企業名
1位 アップル アメリカ
2位 マイクロソフト アメリカ
3位 サウジアラムコ サウジアラビア
4位 アルファベット(Google) アメリカ
5位 アマゾン アメリカ
6位 テスラ アメリカ
7位 メタ(フェイスブック) アメリカ
8位 エヌビディア アメリカ
9位 バークシャー・ハサウェイ アメリカ
10位 TSMC 台湾
出典:companiesmarketcap.com

テンセント:株価は年初来で19.06%減

テンセントは、中国でオンライン広告サービスやオンラインチャット、オンラインゲームなどを展開する中国のネット大手だ。2020年末時点では時価総額で世界7位だったが、現在はTOP10圏外となり、11位となっている。

テンセントの株価は、上場している香港市場で年初来で19.06%減となっている。 なぜ、今年 テンセントの株価が大きく下落しているのだろうか。その要因の一つは、中国政府の大手ハイテク企業に対する批判的な姿勢だ。

中国政府は大手ハイテク企業に対し、市場競争の公正性に関する懸念を示し、ユーザーの個人情報を不当に収集していると批判した。これが同社の将来性に不透明感を与え、その結果株価が下落しているのだ。

テンセントが時価総額TOP10から姿を消したのは2021年9月16日のことで、TOP10から中国企業がいなくなるのは2017年以来初めてだ 。

アリババ:株価は年初来で43.28%も下落

アリババも、2020年末時点ではテンセントとともに時価総額トップ10にランクインしていた。当時は9位だったが、2021年11月28日現在は22位だ。香港市場に上場しているアリババ株は、年初来で43.28%も下落 している。下落幅はテンセントを大きく上回っている。

アリババ株の下落は、アリババの創業者であるジャック・マー氏の存在抜きには語れない。 2020年10月、マー氏は中国国内で開かれた金融フォーラムで中国の金融当局を批判した。そして中国政府は、それを問題視した。

その結果、アリババ傘下の金融大手アントグループの上場が直前で延期され、アリババ株の下落を招いた。その後マー氏が行方不明になったと報じられたことも、下落に追い打ちをかけた。

ほとぼりが冷めたら株価は回復すると考えられていたが、マー氏の発言から1年以上経ってもアリババ株の下落は続いている。

規制強化を進める中国、今後はどうなる?

テンセント株やアリババ株だけが不調なわけではない。中国のインターネット関連銘柄の多くが下落しており、主要な中国のインターネット株で構成される上場投資信託(ETF)「KWEB」は、年初来で40.57%減となっている。

インターネット関連銘柄だけではなく、中国の不動産関連企業に対する懸念も急速に広がっている。その発端は「中国恒大」の問題だ。中国政府が不動産企業に対する融資規制を強化したことで、中国恒大をはじめ多くの不動産企業の資金繰りが苦しくなった。

中国政府のさまざまな業種に対する規制強化の動きは、まだ落ち着く様子がない。2021年9月に仮想通貨を全面禁止したことも記憶に新しい。

テンセントやアリババの株価下落はいつ底を打つ?

今後さまざまな業種で規制強化を進めば、世界の時価総額ランキングにおいて、中国企業はTOP20やTOP30からも消えるかもしれない。まずは、時価総額が大きいテンセントやアリババの株価下落が、いつ底を打つのかを確認したい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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