2019年12月31日に中国・武漢で最初の感染者が確認されてから、まもなく丸2年が経過しようとしています。

そして2021年も残りわずかとなりました。インバウンドを顧客としていた事業者にとっては依然として苦難の状況が続いています。

この2年間、日本は東京五輪などのビッグイベントもあった中でどのように対応してきたのでしょうか。そして今後はどのような展望が描けるのでしょうか。

新型コロナウイルス発生から今日までを時系列で振り返ります。

目次

  1. コロナ発生から東京五輪開催まで
  2. 東京五輪とコロナ
  3. コロナ×インバウンド、2021年後半および今後の展望
  4. インバウンドの復興に向けて

コロナ発生から東京五輪開催まで

まず新型コロナウイルスの世界での感染状況、そして日本での入国者数を元に詳しく見ていきます。

世界での感染者数と日本の感染者数を比較してみると、世界の感染者数が増減を繰り返すなか、ちょうど東京五輪が開催された2021年夏ごろにかけて、日本国内の感染者数は突出して大きく増えました。

また観光庁の発表に基づく訪日外客数の推移を見ると、日本には元々中国からの訪日外国人客が多いことから、2020年2月には前月の1月よりも半減し、その後4月にはわずかな数まで落ち込んでいます。

規制ゼロから徐々に渡航制限へ

新型コロナウイルスが最初に確認されてからの政府の対応を振り返ります。

まず2019年12月31日に、公式に中国・武漢で最初の感染が確認されたと発表されました。

当初はマスク着用や国際往来制限等もなかったものの、2020年1月24日に流れが変わり、武漢を含む湖北省に対して感染症危険情報レベル3「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」を、中国のその他の地域に対して感染症危険情報レベル1「十分注意してください」を発出しています。

さらに2020年1月31日にはWHOが緊急事態宣言を発令し、その後2020年2月末からは中国以外の国々にも渡航を制限する動きが加速していきます。

日本の状況

日本では2020年2月に、ダイヤモンド・プリンセス号における集団感染が確認されました。

その後2020年3月25日に、全世界に対する危険情報の発出(新型コロナウイルスの感染拡大を受けての出国制限措置や航空便の運休による出国困難)として、不要不急の渡航が禁止となりました。

日本国内においては、4月7日に第1回目の緊急事態宣言が都心部を中心に発令され、4月16日に全国へ拡大され、いわゆる「コロナ禍」と呼ばれる世情となりました。

ここから日本は、感染拡大の抑止と経済活動再開との隘路を探ることになります。

外出自粛要請によってダメージを受けた観光業界への復興支援策として、7月からGoToトラベルキャンペーンが開始され、さらに11月からは日本在住のビジネスマンを対象として、外国からの入国に関し14日間の隔離緩和が実施されるようになりました。

ビジネストラック・レジデンストラックによる一時的な緩和

2020年7月から、タイからの入国に対してレジデンストラックがスタートしました。

レジデンストラックとは、例外的に入国が認められるものの、入国後14日間の自宅等待機は維持されるスキームのことで、主に駐在員の派遣・交代や、長期滞在者が利用するものです。

ビジネス目的の短期出張については、2020年9月からシンガポールでスタートしました。

主に短期出張者向けのビジネストラックは例外的に入国が認められ、「本邦活動計画書」の提出などの条件の下で、入国後14日間の自宅等待機期間中も行動範囲を限定した形でビジネス活動が可能となるスキームです。

2020年10月1日からは、ビジネス目的以外でも留学や家族との交流などの入国が認められるようになりました。

その後対象国を拡大するも、2021年1月13日には、世界的な感染拡大を受けビジネストラック・レジデンストラックは中止となりました。

東京五輪とコロナ

ここからは新型コロナウイルスの感染拡大が、東京五輪に及ぼした影響について振り返ります。

海外観光客の受け入れを断念

2020年3月24日、当時の安倍首相とバッハ国際オリンピック委員会会長の電話会談で、東京五輪の開催が2021年に延期されることが決定されました。

開催の中心地となった東京では2020年に一時期感染状況が収まるも、2021年にかけて再び悪化しました。

新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株についても、2021年3月下旬に日本で最初に感染者が確認されました。

デルタ株は感染力が従来よりも強く警戒され、2021年3月に海外観光客の受け入れを断念しました。

これにより東京五輪開催にあたって見込まれていたインバウンド客の消費が、ほぼ消滅することが決定したことになります。

日本国内においても2021年7月9日に無観客が決定したことで国内観光客の消費もほぼ見込めないこととなり、東京五輪開催による「特需」を数年前から見込んでいた観光関連事業者にとってはさらなる痛烈な打撃を負うことになります。

東京五輪がもたらしたレガシー

延期された東京五輪は2021年7月23日から開会し、海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書(通称ワクチンパスポート)の発行が7月26日から開始されました。

しかし感染者数の増加は止まらず、国内の機運も歓迎ムード一色とはなりませんでした。

いっぽうで海外からは、五輪を契機に中国人の43.6%が「五輪きっかけに訪日を検討」するようになったとする調査データも発表されています。

また人材育成や発信力については、良い「レガシー」を残せたとする声も挙がっています。

感染拡大の過渡期にあった中で、目立ったクラスター感染を起こさずに五輪を開催した日本に対して、世界からは一定の評価を集めたともいえるでしょう。

コロナ×インバウンド、2021年後半および今後の展望

ここからは東京五輪が閉会した後の現在までの流れ、そしてアフターコロナ×インバウンドの展望を紹介します。

2021年8月以降、徐々に入国制限が緩和

2021年8月17日、東京五輪が閉会した後、入国者数の上限が3,500人まで緩和されました。

その後は国内における感染者数は激減し、10月1日に入国制限も緩和され、14日間の待機が10日待機に短縮されました。

さらに2021年11月から、ワクチン接種およびPCR検査での陰性証明により、隔離期間が10日間待機から3日間待機へと大幅に短縮されることが決定しました。

ビジネス目的の短期滞在や留学生、技能実習生が入国できるようになり、岸田首相も2021年内の外国人観光客受け入れに前向きな発言を会見で残していました。

2021年11月26日からは、さらに入国者数の上限が5,000人へと緩和されました。

オミクロン株の発生 入国制限厳格化へ

南アフリカで2021年11月、新型コロナウイルスの新たな変異株である「オミクロン株」が確認されました。

これを受けて、11月29日付で全世界からの航空券の新規予約受け付け停止を発表し、事実上入国が不可能な状態となりました。

12月1日からは入国者数の上限が5,000人から3,500人へと制限されましたが、「日本人が帰国できない」、「差別だ」といった批判を受け、12月に新規予約受け付けは再開されています。

外国人の新規入国については、2021年12月末まで認められていません。

また国内では「Go To」キャンペーンについて感染再拡大の懸念から2020年に停止されて以降未だ再開されていませんが、2022年1月末からの開始が検討されています。

しかしオミクロン株は日本国内においても市中感染が確認される事態となり、こうした観光再開への前向きな判断が実行に移されるかどうかは、極めて不透明な局面となりました。

インバウンド、再開はいつ?

国際的な旅行の再開をめぐっては、UNWTOが実施した2021年9月時点の調査によれば、全世界で2023年または2024年以降に再開されるであろうという見込みがなされています。アジア・太平洋地域においても同様の傾向が見られました。

観光庁は2021年12月8日に開催された審議会の中で、2030年までの目標(訪日外国人6,000万人、観光消費額15兆円)は堅持する考えを示しており、目標達成に向けての支援を実施することも表明されています。

インバウンドの復興に向けて

コロナ×インバウンドの観点においては、特に2021年は東京五輪が開催されたものの、外国人観光客はゼロとなりました。

新型コロナウイルスについては、いまなお変異株が数多く確認されており、そのたびに水際対策が強化されるなど、世界の緊張は緩みません。

しかし日本政府は2030年のインバウンドに対する目標を堅持しており、その達成に向けた支援も実施されています。

観光は「平和産業」と呼ばれることもあり、いわば「有事」ともいえる世界の状況に対して、なかなか観光振興に大きな舵を取れない状況が続いています。

依然として先行き不透明な国際観光の再開時期ですが、しかし一歩ずつコロナ後の観光再開に向けて体制を整えています。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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