11月8日に初確認された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、渡航制限の解除が徐々に始まり、観光再開への機運が高まりつつある世界各国に新たな緊張感を高める契機となりました。

この記事では、オミクロン株の発生当初の状況から、各国の感染状況、2021年12月までのオミクロン株をめぐる各国の入国制限についてみていきます。

目次

  1. 南アフリカでオミクロン株発見
    1. 感染力の強さと、重症化リスクの低さ
    2. これまでに確認された、懸念される変異株
  2. 世界と日本の感染状況
  3. オミクロン株をめぐる日本政府の渡航制限の動き
  4. 再び世界に緊張走る。対応はより迅速に

南アフリカでオミクロン株発見

オミクロン株の初の感染は11月8日に南アフリカで確認され、12月7日までに日本を含めた世界57か国から感染例が報告されています。

南アフリカの国立感染症研究所によると、10月はデルタ株が84.3%(650件中548件)を占めていたのに対し、11月は検査された陽性例のうち73%(312件中228件)がオミクロン株で占められており、急速にオミクロン株に置き換わる現状が浮き彫りとなっています。

南アフリカ大統領は、オミクロン株を受けての各国の対応について批判し、「我が国と南部アフリカの姉妹国を不当に差別している」と言及し、入国制限を強化した各国を名指しで批判したツイートを投稿しました。

「オミクロン株」現時点でわかっていること
(画像=▲Cyril Ramaphosa氏の投稿:Twitterより編集部スクリーンショット、『訪日ラボ』より 引用)

感染力の強さと、重症化リスクの低さ

京都大学の西浦教授らは、南アフリカでの感染拡大初期において、1人が何人にうつすかを示す「実効再生産数」が、オミクロン株がデルタ株の4.2倍になったと分析しました。

オミクロン株が急激に拡大したことを示すもので、12月8日に厚生労働省の助言機関に報告されています。

一方WHO(世界保健機関)の事務局長であるテドロス・アダノム氏は12月8日に、オミクロン株について「感染力は強いが重症化リスクは低い」との見解を示しています。

また米政府のアンソニー・ファウチ主席医療顧問も12月7日、オミクロン株の重症度について、判断には数週間かかるものの、初期データによればデルタ株よりも高くないと示されており、デルタ株よりも低い可能性もあると述べました。

欧州疾病予防管理センター(ECDC)は11月30日、欧州連合(EU)でオミクロン株の感染が少なくとも44件確認され、全て無症状または軽症だったと明らかにしました。

また南アフリカ医学研究評議会は、オミクロン株が初確認された、南アフリカ北部ハウテン州ツワネ地区に位置する医療機関の患者情報を、臨床報告として公表しました。

2021年12月2日時点で、酸素吸入機器を必要としない患者や呼吸器系の症状がみられない事例は、7割程度にのぼり、従来のデルタ型と異なり重症化リスクの低さがうかがえます。

これまでに確認された、懸念される変異株

国立感染症研究所ではリスク度合いに応じて、変異株を「懸念すべき変異株(VOC)」「注目すべき変異株(VOI)」「監視下の変異株(VUM)」に分類しています。

「懸念すべき変異株(VOC)」については、2020年5月に南アフリカでベータ株が検出されて以降、同年10月にインドでデルタ株、11月にブラジルでガンマ株、2021年11月に南アフリカ等で今回のオミクロン株が、それぞれ最初に検出されました。

「注目すべき変異株(VOI)」は現時点では該当がなく、「監視下の変異株(VUM)」については2020年8月にペルーでラムダ株が検出されて以降、翌9月にイギリスでアルファ株、翌10月にインドで旧カッパ株、2021年1月にコロンビアでミュー株などが検出されています。

世界と日本の感染状況

日本ではオミクロン株の感染者が未確認の時期から、国立感染症研究所が警戒レベル最大の「懸念すべき変異株(VOC)」に引き上げていました。

ECDCで把握された情報の範囲では、12月9日時点で死亡例は報告されていません。

12月7日までに日本を含め全世界57か国から感染例が報告されており、日本では11月30日に初確認されたナミビアから帰国した男性を筆頭に、12月8日時点で4人の感染が確認されています。

そして本日10日、日本国内で新たにオミクロン株に感染した人が複数人確認されたと政府関係者によって明らかにされました。

オミクロン株をめぐる日本政府の渡航制限の動き

日本政府は11月8日から、海外からのビジネス目的の短期滞在者、留学生、技能実習生の新規入国と、待期期間の緩和を認めました。

その後11月26日から、入国上限者数を1日当たり3,500人から5,000人へ引き上げる方針を固めました。

インバウンド再開に向けてついに門戸を開きはじめるように思われましたがしかし、オミクロン株の発見を受け11月30日以降は外国人の新規入国は認めていません。

さらに国土交通省は11月29日付で、全ての航空会社に新規予約停止を要請しました。12月1日からは入国者上限を11月26日から緩和された5,000人から、3,500人へと再び引き下げています。

こうした一連の日本の対応を受け、WHOの緊急事態対応を統括するライアン氏12月1日、「ウイルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない」と述べ、自国民か否かで入国制限を判断するような対応は「矛盾している」と批判しました。

その後日本政府は12月2日に、国際線の新規予約に対する一律停止要請を取り下げ、航空会社に通知しました。

邦人の帰国需要に配慮した結果の措置で、1日あたりの入国者数上限の引き下げは維持しています。

上記の通知を受けた航空会社は、12月4日より新規予約を再開しました。

再び世界に緊張走る。対応はより迅速に

オミクロン株の発見を受けての各国の動きは、かつて新型コロナウイルスの感染拡大が確認された2020年1月ごろと比較すると、総じて迅速なものといえます。

今後どのように感染が拡大していくかは不透明ではあるものの、新型コロナウイルスとの戦い方が初期とは大きく変わってきていることは事実です。

<参照>

外務省:報道発表 厚生労働省:オミクロン株に対する水際措置の強化(2)
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部:新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応
国立感染症研究所:SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第3報)
ECDC:Epidemiological update: Omicron variant of concern (VOC) – data as of 9 December 2021 (12:00) South African Medical Research Council:Tshwane District Omicron Variant Patient Profile - Early Features

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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