新型コロナウイルスの感染が落ち着きを見せたことで営業時間などの規制が撤廃され、小売業界でも売上高の回復が見られるようになってきました。

11月の小売業界の動きとしては、AI技術を取り入れて業務の効率化や食品ロスの削減、出店戦略など、DXの取り組みが見られています。

本記事では、11月の小売業界の動向についてまとめます。

目次
小売DX
業種別の売上動向

小売DX

小売業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation)によって、業務の効率化や人件費の削減など、さまざまメリットが期待されています。

AIで食品ロス削減

島根県松江市を中心に展開するスーパーマーケットの「みしまや」では、AIを使って食品ロスの削減を目指すSDGsへ取り組む実証実験を11月から開始しています。

みしまやはIT企業「テクノプロジェクト」と協力して過去1年半分の販売実績を分析し、その結果からAIが予測した販売数量をもとに一部店舗で商品の発注をしています。

みしまやでは経営する13店舗での年間商品廃棄での損失額は1億円ともなり、この実証実験では商品廃棄削減による損失額の縮小と発注業務の効率化が期待されています。

ノジマ、人流データ解析で出店戦略

家電販売店のノジマは11月10日に、スタートアップ企業の「LocationMind」と協業のもと、実証実験を行うことを発表しました。

LocationMindは東京大学の柴崎亮介研究室発の技術ベンチャーでGPSデータなどの位置情報解析を活用した事業などを展開しており、ノジマはこの位置情報AI技術を活用した人流データ分析を活用して、効果的な出店戦略や新規顧客獲得生かしたい考えです。

まずは、既存単独店での人流データ分析などの早期実証実験を目指すとのことです。

ライトオン/事前注文・事前決済サービス開始

ジーンズセレクトショップのライトオンは11月17日より、NTTドコモのd払い「予約・注文」サービスを導入、開始しています。

ライトオンではオンラインショップ利用での店頭受け取りに対して、これまでは店頭決済のみで対応してきましたが、ニーズの高まりからユーザーにより快適に利用してもらえるよう、d払いアプリの「予約・注文」サービス利用で事前注文、事前決済が可能となりました。

d払いアプリからライトオンショップを選択し、ライトオンオンラインショップを利用することで、店頭での決済がなくスムーズに商品の受け取りができます。

セブンイレブン、ドローンで商品配送(東京)

コンビニ大手のセブンイレブンは11月22日に、ANAとドローンメーカー「ACSL」、NTTドコモと協力して東京都日の出町でドローンによる即時配送サービスの実証実験を行うことを発表しました。

配送料は税込110円で、「セブン‐イレブンネットコンビニ」から注文を受けた商品を店員がドローンへの荷物を搭載し、駐車場を活用した発着場から町内に設置された4か所の任意地点へ配送します。

2020年には福岡県福岡市の諸島部で実証実験が行われ、コンビニ商品だけでなく、アイン薬局と連携して処方箋医薬品の配送もされました。

買い物難民解消へ、無印良品が移動販売

生活雑貨の無印良品は11月17日より、岡山県笠岡市で移動販売車の運行を開始しました。 無印良品は9月より広島県福山市を拠点に、店舗を運営する「良品計画」とアサヒタクシーが協業して移動販売車を運行しており、今回は無印良品の店舗が無い笠岡市の社会福祉協議会から要望があり実現となりました。

今後は月に2回程度の運行が予定されています。

業種別の売上動向

ワクチン接種の広まりと新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたことから、客足が増えて売上高が戻ってきている業態も見られるようになってきました。
ここでは、11月に発表された小売業関連の各種データについて紹介します。

大手百貨店5社とも10月売上増加/クリスマスケーキ・おせち予約好調


大手百貨店5社(三越伊勢丹、大丸松坂屋、阪急阪神百貨店、高島屋、そごう・西武)が発表した2021年10月度の売上高では、5社すべて前年同月比で売上高が増加しています。
これは、9月末で全国の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除され、人流が増加したことが要因と考えられ、特に三越伊勢丹ではグループ全体で前々年2019年比でも6%増となるなど、売上回復の傾向が見られています。
また、コロナ禍で需要が増えた家で過ごすニーズから、クリスマスケーキや正月のお節などの予約が好調となっているようです。
各社業績ダイジェスト
三越伊勢丹(首都圏):前年同月比7.7%増
J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店事業合計):5.8%増
エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店全店計):3.8%増
高島屋各店計(国内百貨店子会社含む):4.9%増
そごう・西武10店計:0.2%増

アパレル大手4社、総じて売上減少


大手アパレル4社(ユニクロ、しまむら、西松屋、ハニーズ)が発表した2021年10月度の売上高では、4社すべて前年同月比で売上高が減少となりました。
ユニクロでは、新型コロナウイルスの影響で10月末時点でも4店舗が休業、34店舗で時短営業を行なっていたことも要因の1つと考えられます。
また、10月の前半は例年よりも気温の高い日が続いたため、ジャケットなどのアウターや秋冬物衣料の売上が低迷し、後半には気温が低下しましたが、それまでの低調をカバーできなかったと見られています。そのため、秋冬物衣料は11月に入ってからの売上に期待がされています。
各社業績ダイジェスト
ユニクロ(ファーストリテイリング):4.8%減
しまむら:9.5%減
西松屋:12.8%減
ハニーズ:3.1%減

メガネ大手4社中3社が業績改善


大手メガネチェーン4社(愛眼、JINS、三城ホールディングス、メガネスーパー)が発表した2021年10月度の売上高では、3社で前年同月比で売上高が増加しました。
これは、9月末で全国の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除され、客足が回復したことが要因と考えられます。
また、メガネスーパーのビジョナリーHDでは、2021年5月以降すべての月でECの売上が前年を上回り、好調となっています。
各社業績ダイジェスト
愛眼:既存店売上5.4%増
JINS:既存店売上2.7%増
三城ホールディングス:既存店売上4.2%減
ビジョナリーHD(メガネスーパー):既存店売上4.5%増

各業態10月の売上動向


令和3年10月度販売概況│チェーンストア販売統計│日本チェーンストア協会
:チェーンストアでの総販売額は1兆884億円、前年同月比3.6%増
10月のコンビニエンスストア統計調査月報(日本フランチャイズチェーン協会)
:コンビニエンスストアにおける既存店ベースの売上高は8,734億8,500万円、前年同月比1.1%減
10月のスーパーマーケット販売統計調査資料(オール日本スーパーマーケット協会)
:スーパーマーケットにおける総売上高は9,625億4,658万円、既存店前年同期比0.3%増
10月のショッピングセンター販売状況(日本ショッピングセンター協会)
:ショッピングセンターの売上高は4,685億2,999万円、前年同月比1.4%減
10月の全国百貨店売上高概況(日本百貨店協会)
:全国の百貨店の売上総額は約3,848億3,612万円、前年同月比2.9%増
10月分の商業動態統計速報(経済産業省)
:ホームセンターの売上高は2,808億円で前年同月比0.4%増
:ドラッグストアの売上高は6,099億円で前年同月比4.9%増
:家電大型専門店では3,511億円で前年同月比1.9%増