アメリカの中古車価格の指標である「マンハイム指数」をご存じだろうか。このマンハイム指数がいま異常な高騰を見せている。価格を押し上げる要因が重なったことが理由とされている。マンハイム指数の推移とともに、それらの要因について解説していこう。

「マンハイム指数」の動向を紹介

マンハイム指数は、アメリカの中古車販売最大手のマンハイム社が発表している指数で、正確には英語で「Manheim Used Vehicle Value Index」と呼ばれる。

この指数は1995年1月の中古車価格を100としており、今月を含めて毎年11月で比べてみると、以下のような推移となっている。

<各年11月のマンハイム指数の推移>
年/月 マンハイム指数
2012年11月 122.6
2013年11月 122.4
2014年11月 123.3
2015年11月 125.1
2016年11月 124.8
2017年11月 134.5
2018年11月 139.0
2019年11月 138.9
2020年11月 162.0
2021年11月 234.8
出典:マンハイム社

2012年11月の数字から追っていくと、マンハイム指数は上昇基調が続いていたが、2020年と2021年はそれまでの上昇のスピードをはるかに上回る高騰をみせていることが分かる。このほど発表された2021年11月のマンハイム指数は234.8だった。

マンハイム指数の急激な上昇は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した時期に端を発する。以下が2020年1月から2021年11月にかけてのマンハイム指数の月次の推移だ。2020年4月に一度大きく下落したものの、その後は上昇に歯止めがかからない状況だ。

<2020年1月〜2021年11月のマンハイム指数の推移>
年/月 マンハイム指数 年/月 マンハイム指数
2020年1月 141.6 2021年1月 163.0
2020年2月 143.5 2021年2月 169.2
2020年3月 141.9 2021年3月 179.2
2020年4月 125.8 2021年4月 194.0
2020年5月 137.0 2021年5月 203.0
2020年6月 149.3 2021年6月 200.4
2020年7月 158.0 2021年7月 195.2
2020年8月 163.7 2021年8月 194.5
2020年9月 161.2 2021年9月 204.8
2020年10月 161.9 2021年10月 223.7
2020年11月 162.0 2021年11月 234.8
2020年12月 161.1
出典:マンハイム社

なぜいま中古車価格が暴騰しているのか?

なぜこのようなに中古車価格の高騰が止まらない状況となっているのか。その要因となっている要素は主に「新車生産の落ち込み」と「自動車需要の急上昇」の2点であると言える。

中古車価格高騰の要因①:新車生産の落ち込み

新型コロナウイルスの感染拡大によって、各国でロックダウン(都市封鎖)が起きた。各自動車メーカーの自動車工場が多数ある東南アジアも例外ではなく、ロックダウンによって自動車工場での減産や工場自体の操業停止を余儀なくされるケースが目立った。

それによって新車の生産が落ち込み、新車を購入したくてもすぐに手に入れられない人が出てきたことから、中古車の需要が高まった。需要が高まれば価格は上がる。

さらに半導体不足も追い打ちをかけた。米中の貿易摩擦やパソコン向け半導体の需要拡大などもあり、車載半導体が足りなくなった。このこともネックとなり、各社が生産計画の見直しを迫られた。

中古車価格高騰の要因②:自動車需要の急上昇

新車の生産が追いついていないのに、自動車に対する需要が増えたことも影響している。感染防止のためには、公共交通を使うより自動車で移動した方が効果的だ。人との接触を避けられるからだ。そのため、自動車を新たに購入しようという人がコロナ禍で増えた。

こうした需要はワクチン接種が進むにつれて落ち着いたが、最近ではそれに代わり、レンタカー会社による自動車の購入需要が増えている。観光産業の回復を見込み、取り扱い車両を増やそうとしているからだ。

中古車価格の高騰は今後も続く?

ここまでの説明を要約すると、自動車市場において新車の供給が減った一方、自動車に対する需要が増えたことで、価格相場が一気に高まった、ということになる。

ではこうした傾向は今後も続くのか。確定的なことは言えないが、新車生産に対する懸念はそう簡単には消えないと思われる。半導体不足の解消にめどが立っていないからだ。

需要に関しても不透明な状況が続くが、いずれにしても当面は需要が高いペースが続きそうだ。新型コロナウイルスが再拡大すれば、感染防止のための移動手段としての需要が高まるし、コロナ禍が完全に収束するとしても、レンタカー会社などによる需要があるからだ。

何にせよ、しばらくは月次のマンハイム指数の動向から目が離せない状況が続きそうだ。

執筆・
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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