人類は古くから、海や山の幸など「自然の恵み」によって命を繋いできました。
しかし、川魚のように豊富に存在する資源も乱獲が行き過ぎると、繁殖が追いつかずに枯渇し、失われてしまう恐れがあります。
では、海や川の魚に頼って生きていた古代人は、どうやってこの問題をクリアしたのでしょうか。
カナダの複数大学による共同研究チームはこのほど、北アメリカの北西部沿岸に数千年にわたって居住してきたツレイル・ウォウトゥス(Tsleil-Waututh)族と協力し、当時のサケ漁の実態を調査。
その結果、地元先住民は、オスをメインに漁獲し、メスの多くは獲らないことで、サケの枯渇を防いでいたことが示唆されました。
当時の人々はすでに、メスを獲り過ぎるとサケ漁が続かなくなることに気づいていたのでしょうか。
研究は、11月10日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。
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PCR法から「オス鮭」ばかり食べていたことが判明
「持続可能な漁獲システム」を目的としていた?
PCR法から「オス鮭」ばかり食べていたことが判明
研究チームは、カナダ北西部・ブリティッシュコロンビア州の南西に位置するフィヨルド、バラード入り江沿いを対象に、4つの歴史的集落から採取したサケの骨を調査しました。 分析した骨は全部で116個、最も古いものに約2000年前の骨があります。 今年6月、骨から抽出した古代のDNAを調べたところ、地元民が収穫していた主な種はシロザケ(学名:Oncorhynchus keta)であることが判明しています。 しかしその後、当時の漁師が、メスよりもオスのサケを好んで獲っていたことを示唆する証拠が発掘されたため、チームは、2回目の遺伝子分析を行うことにしました。
(画像=遺伝子分析した古代のサケの脊椎骨 / Credit: Dan Robitzski(The Scientist) – 2,000-Year-Old Salmon DNA Reveals Secret to Sustainable Fisheries(2021)、『ナゾロジー』より引用)

(画像=4つの集落での割合(白がオス、黒がメス) / Credit: Thomas Royle et al., Scientific Reports(2021)、『ナゾロジー』より引用)