コロナ禍によって最も大きな打撃を受けた業種の一つに、百貨店業界があります。

インバウンド(訪日外国人観光客)はほぼ完全にストップし、国内消費も大きく影を落としたこの2年間。数百年続く伝統を持つ老舗、大丸・松坂屋はその中で確かな変革を遂げていました。

今回は大丸・松坂屋を抱えるJ.フロント リテイリンググループで「大丸松坂屋カード」を手がけるJFRカード株式会社代表取締役社長の二之部守氏にインタビューしました。

アメリカン・エキスプレスやVISAなど世界的なクレジットカード会社で要職を歴任した二之部氏は、コロナ後の百貨店のあり方をどう見ているのでしょうか。

「百貨店は終わった」コロナ禍で加速した変化と、見出した活路【JFRカード二之部社長インタビュー】
(画像=▲二之部守氏 - J.フロント リテイリンググループ執行役/JFRカード株式会社代表取締役社長、『口コミラボ』より引用)

目次

コロナ禍で受けた打撃と、新たな活路

_コロナ禍となってから約2年が経ち、百貨店業界も厳しい状況に立たされています。

そうですね…インバウンドはもとより、国内の客足も大きく減少しました。もちろんこれは当社だけに限った話ではないですがね。

こうした状況を少しでも改善すべく、ECでの取り扱い商品の拡充や情報発信の強化に取り組みました。

それと新たに「オンライン接客」にも取り組みました。Zoom上でコミュニケーションをとることで、顧客にとっては馴染みのお店、馴染みの販売員とオンライン上でつながり、買い物ができるわけです。

また対インバウンド市場に対しては、現地で影響力のあるインフルエンサーを起用し、現地サイトでの情報発信を行っています。

「百貨店は終わった」コロナ禍で加速した変化と、見出した活路【JFRカード二之部社長インタビュー】
(画像=▲百貨店がコロナ禍で打撃を受けた中、ECでの取り扱い商品の拡充や情報発信の強化、さらには「オンライン接客」にも取り組んできたと、二之部氏は語る、『口コミラボ』より引用)

_コロナ禍でこれまでやってきた営業ができない中で、次々に新しい打ち手を打ってこられたのですね。オンライン接客はコロナ禍になってから初めて取り組んだ施策だということですが、手応えはいかがでしょうか。

非常に良いですね。オンライン接客を導入したことで、いわば「時間」と「場所」の制約を超えられたことは大きいと感じています。

コロナ前までは直接顧客のご自宅まで商品をお持ちし、ご説明に上がっていました。そうした百貨店ならではのクローズドな関係構築を、オンラインでも実現できたというのは大きな収穫です。

特に高級品やアート(芸術品)をこうしたオンライン接客形式から購入いただけるというのは、コロナ禍がなければ発想すらしなかったかもしれません。

_コロナ禍だからこそ、得られたものもあったわけですね。

はい。ただ、オンラインがリアルの場を完全に代替できるかというと、そういうわけではないと考えています。店舗というリアルにしかない強みもあるなと。

「デジタルの強み」と「リアルの強み」をどう融合させるかというのが、今後挑戦していきたい領域です。

まだ構想段階ではありますが、百貨店の売り場で行われるお客様のさまざまな行動を、データとして活用できないかと考えています。

例えば店頭で何を手に取り、何を棚に戻したか。施設内ではどういうルートを移動しているのか、店員とどんな会話をしたか、など。こうしたデータを収集することは技術的には可能です。

こうした百貨店の売り場にある潜在的なデータを可視化し活用することで、新たなフェーズに進むことができると考えています。

大丸松坂屋カードの刷新、今後の挑戦について

_大丸松坂屋カードを2021年1月にリニューアルされていますね。

リニューアルした大丸松坂屋カードは、これまでの常識を破るカードだと自負しています。

たとえば業界初となる縦向きのカードデザインへの刷新、大丸・松坂屋で買い物する以外にもあらゆるシーンで貯まる「QIRA[キラ]ポイント」を導入したことなどです。

「百貨店は終わった」コロナ禍で加速した変化と、見出した活路【JFRカード二之部社長インタビュー】
(画像=▲大丸松坂屋カード、リニューアルで業界初となる縦向きのカードデザインへ。QIRA[キラ]ポイントの導入も、『口コミラボ』より引用)

しかしリニューアルのタイミングは、奇しくもコロナ禍直前という時期と重なりました。

コロナ禍に起因する外出自粛要請などによって、リアル店舗での呼びかけによるカード加入者の獲得は難しくなりました。しかしこうした状況には、ターゲットとする重点エリアを定めた上で、オンラインでの宣伝に注力することで効果を得ています。

_コロナ後を見据えた今後の展望をお聞かせください。

QIRAポイントについては認知度ゼロからのスタートです。そのためお客様へのサービス浸透にある程度時間がかかることは想定しており、2年、5年、10年といった中長期的な時間軸で考えています。

今後はこのQIRAポイントを、JFRグループ内の商業施設であるパルコやGINZA SIXなどで貯まる・使えるポイントプログラムにすることを考えています。また地域の加盟店で常時2倍3倍のポイントが貯まるようにするという構想もあります。

長期的にはQIRAポイントの浸透を通して、お住まいの近くの大丸や松坂屋で日々買い物をする方、そのエリアで勤めている方に「QIRAポイントが使える場所だから行きたい、使いたい」と発想してもらえるような存在にしたいと考えています。