原則無観客で行われた東京五輪が、8月5日に閉会しました。
開催が来年に迫る北京五輪は、2022年2月4日から20日までの計17日間で行われます。
本記事では北京五輪にかける中国当局の思い、そして国際社会の反応について紹介します。
目次
中国独自の「全国運動会」開催へ
中国陝西省の西安では9月15日から、「全国運動会」という中国国内最大のスポーツイベントが開催されています。
4年に1回開催されることから「中国のオリンピック」とも呼ばれるこの大会で、北京五輪に向けての練習が行われるとみられます。
「中国のオリンピック」感染対策は?
今年の全国運動会には、中国全土から1万3,000人が集まり、東京五輪の参加人数を2,000人ほど超えています。
感染対策については、有観客で実施し、観客にワクチン接種および陰性証明を義務付ける考えを示しています。
地元当局は全国運動会に備え、8月中旬に4,000を超えるレストランやバー、観光スポットを閉鎖し、西安の住民1,300万人を対象に強制的なコロナ検査を始めました。
また大会期間中、陝西省は全入境者にコロナ検査の陰性証明提示を義務付けます。
北京五輪は有観客なるか
8月5日、IOCのエグゼクティブディレクターであるクリストフ・デュビ氏は北京五輪をめぐり、無観客となる可能性について言及しました。
ただし北京五輪の公式サイト上では、「2021年末にはお知らせ」と表示されるにとどまっています。
東京五輪で実現しなかった、有観客での開催の可能性を探っていると考えられます。
北京五輪の問題:人権問題への風当りが強く
一方で中国に対しては、国際社会から人権問題に関する非難の声が相次いでいます。
人権団体、北京五輪の放送中止を求める
中国に対しては、新疆ウイグル自治区や、その他の少数民族をめぐる人権侵害が問題となっています。
これを受けて200以上の人権団体が、中継局のNBCやBBCなどに対し、来年の北京五輪の放送計画を放棄するよう求めました。
世界で北京五輪をボイコットするよう求める動きも広がる中、従来通りの形で北京五輪が開催されるのか、注目が高まっています。
スポンサーにかかる中国とアメリカからの圧力
さらに北京五輪をめぐってスポンサーへの圧力も高まっています。
アメリカ議会の超党派委員会は、7月27日に開かれた公聴会で、北京五輪のスポンサー企業が人権問題よりも利益を優先していると強く非難しました。
公聴会には、スポンサー企業であるコカ・コーラ、ビザ、エアビーアンドビー、インテル、P&Gの5社の幹部が出席していました。
議員からの非難に対し企業側は、中国政府には言及せず「我々は特定の都市や大会ではなくアスリートのサポートが目的だ」などと主張しました。
これを報じた米紙ワシントンポストは、最上位スポンサーであるトヨタ自動車が東京五輪でのCM放送を見送ったことにも触れており、日本のスポンサー企業の動向も注目されています。
有観客目指し準備進む、人権問題への対応も注目される
中国当局は、有観客での北京五輪開催に向けて、準備を進めています。
9月15日から開催されている全国運動会では、北京五輪に向けた予行演習が行われています。
ただし人権問題で世界から非難を浴びており、北京五輪開催にかかる風当りは弱まっていません。
日本においても、人権問題については慎重に対応する必要があるでしょう。
文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ
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