東京オリンピックが閉幕し、パラリンピックを目前に控えた中、次の冬季五輪である北京五輪開催まで半年を切りました。

新型コロナウイルス感染拡大を早期に抑え込みつつも国境閉鎖を続けてきた中国は、北京五輪をどのように開催するのでしょうか。

本記事では、北京五輪開催への中国の想いや、国際社会からの姿勢についてまとめます。

目次

  1. 現在の中国の感染状況
    1. 早期に抑え込むも変異株によって感染再拡大
  2. 北京五輪開催にあたる中国の目論見とは
    1. 冬季五輪見据え「ウィンタースポーツブーム」を創出
    2. 五輪開催に圧倒的自信の中国
  3. 開催方法にさまざまな憶測、国際社会からは「ボイコット」の声も
    1. 飛び交う有観客・無観客論
    2. 人権問題と「平和の祭典」の相反性指摘も
  4. 一筋縄ではいかない北京五輪、今後のゆくえは

現在の中国の感染状況

中国は、早期に新型コロナウイルス感染症の抑え込みに成功したとされていますが、2021年夏以降、再び市中感染が確認されるようになりました。

早期に抑え込むも変異株によって感染再拡大

中国では、ピーク時(2020年2月13日)には1日の新規感染者数が4,013人だったものの、ロックダウンなどの厳格な規制によってコロナを抑えこみ、武漢市でも1年以上市中感染者ゼロの状態を保ってきました。

国内でワクチン接種を完了した人の割合は、8月6日時点で61.8%となっています。

2021年7月以降、デルタ株の登場によって感染者が発生しており、8月6日時点で、本土の新規感染者数は124人を記録しています。

8月2日には武漢市でも市中感染が確認され、全市民を対象にPCR検査が実施されます。

北京五輪開催にあたる中国の目論見とは

自国での冬季五輪開催決定を機に、中国は国を挙げてウィンタースポーツ親交を進めてきました。

世界でもウィンタースポーツをけん引する立場を担い、国際社会での存在感を五輪で際立たせたい考えなのかもしれません。

冬季五輪見据え「ウィンタースポーツブーム」を創出

冬季五輪を控え、中国政府はウィンタースポーツを盛り上げる国家計画「冬季スポーツ発展計画」を2016年に開始しました。

2025年にウィンタースポーツの競技人口を5,000万人、レジャー人口を3億人に、氷雪関連産業市場規模は2020年に6,000億元、2025年には1兆元(約17兆円)とすることを目標に掲げています。

また同じく2016年に開始された「全国氷雪スポーツ施設建設計画」では、2022年までにスケートリンク650箇所、スキー場800箇所を目標としています。

室内のウィンタースポーツ施設も続々と開業しており、世界第6位の大きさを誇る室内スノーパークを擁する、巨大屋内スノーリゾート「湘江ジョイ・シティ・スノーワールド」が、2020年7月に湖南省にオープンしました。

2018年には、「2018北京冬季五輪ウィンタースポーツ文化フェスティバル」で「全国ウィンタースポーツ参加状況調査」の結果が発表され、中国のウィンタースポーツ参加人口は2億7000万人に達し、全人口の24%を占めたことが分かりました。

さらにAFP通信が報じたところでは、2021年の春節期間中、北京市延慶区(Yanqing)の2か所のスキー場では、延べ1万5,000人近くのスキー客を迎え、氷雪観光客の延べ人数は15万5,000人、観光収入は1,000万元を超えたということです。

北京五輪までに国内のウィンタースポーツ熱を高め、冬季五輪でのプレゼンスを高めたい狙いがうかがわれます。

2021年夏に開催された「ウィンタースポーツ科学技術サポート成果展」では、中国国内初の量産型電動スノーモービルや、中国初の独自開発のボブスレーなどが披露され、中国の国力や科学技術を世界に見せつけようとする思惑が垣間見えます。

五輪開催に圧倒的自信の中国

2022年北京オリンピック選手委員会の委員長を務める楊揚(ヤン・ヤン)氏は、「世界中の視聴者に向けてオリンピックの興奮を再燃させる準備ができています」とコメントしています。

「中国は新たなウィンタースポーツの発信地となるでしょう」と、五輪が成功をおさめ、北京が世界的な存在感を強めるという考えを示しました。

2022年北京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、北京五輪開催によってもたらされるレガシーとして以下を挙げています。

  • ウィンタースポーツの競技人口増加
  • 中国の新しいウィンタースポーツの目的地としての存在確立
  • 新しい雇用機会の創出、長期的に持続可能な開発を支援 また深セン証券タイムズ株式会社(深圳证券时报社有限公司版权所有)が発行する「Securities Times」は、「北京冬季オリンピックは、世界のエピデミックとの戦いに大きな自信を与え、人類の未来を世界に共有するコミュニティの深遠な意味合いを鮮やかに解釈するために、予定どおりに開催されると思います。」と報じています。

新型コロナウイルス感染症についても、「北京冬季オリンピック周辺の会場の建設と社会的動員は決して中断されることはなく、整然と行われてきました。」と自信を見せました。

さらに中国共産党の機関誌である人民日報は、2021年8月に北京オリンピックの宣伝に乗り出し、オリンピック成功によって「『中華民族の偉大な復興』という中国の夢を実現するために奮闘しよう」と呼び掛けているということです。

開催方法にさまざまな憶測、国際社会からは「ボイコット」の声も

東京五輪では、無観客開催のほか、マスク着用の徹底や、選手村からの外出可能時間の限定など、さまざまな規制が行われました。

中国では、どのような開催方式が取られるのか注目されます。

観客の有無といった感染症への懸念とともに、国際社会からは人権問題に関する批判の声も聞こえます。

飛び交う有観客・無観客論

8月13日時点で、北京五輪の観戦チケットはまだ販売されていません。

IOCは7月21日、「2022年北京冬季五輪の成功には観客が必要」という見方を示し、「観客が必要であり、それを望む」「中国の人々のもてなしを誰もが楽しむ機会を実現したい」などとコメントしました。

一方8月にはIOCのエグゼクティブディレクター、クリストフ・デュビ氏が、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、来年の北京冬季五輪が無観客開催となる可能性に言及しました。

「パンデミック(世界的大流行)が世界中、特に中国でどのような展開になるか、観戦が観客に及ぼす影響を見ることにしよう」と発言し、感染状況に応じて観客動員数や形態が変化する可能性を示唆しました。

また中国疾病予防コントロールセンターの専門家は8月上旬、国営の環球時報に対し「北京五輪の競技の多くは屋外で行われるため、国内の観客は観戦可能」と指摘したということです。

人権問題と「平和の祭典」の相反性指摘も

新疆ウイグル自治区への弾圧問題を巡り、国際社会からは「ボイコット論」も聞こえています。

米議会の超党派議員は2021年7月23日、2022年の冬季五輪を延期して開催地を中国の北京市から変更するようIOCに要請しました。

中国政府による、ウイグルなどイスラム少数民族への弾圧が批判されています。

またアメリカのインターネットメディア「アクシオス(Axios)」の調査によれば、アメリカの成人2,875人のうち49%が「中国の人権関連前歴のために北京五輪の主催を中止すべきだと考えるか」という質問に「そうだ」と回答したとされています。

一筋縄ではいかない北京五輪、今後のゆくえは

北京では2021年8月以降に移動制限が敷かれるなど、中国は冬季五輪に向けて感染症対策をさらに強化しています。

「コロナ封じ込め成功国」として海外を受け入れ、国際社会にその力を示すことはできるのでしょうか。

感染症とは別の視点からの懸念も指摘されるなか、開催まで残り6カ月を切った北京五輪の今後に注目が集まります。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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