イタリアの「水の都」、ベネチアへの大型クルーズ船の乗り入れが8月1日から禁止となります。

イタリアは多くの観光客が訪れることから、以前よりオーバーツーリズムが叫ばれており、中でもベネチアはユネスコから「危機遺産」のリストへの登録が勧告されています。リスト登録を回避する狙いや、夏の旅行シーズンが直前に迫った中、観光客が爆発的に増加することへの懸念も影響しているかもしれません。

目次

  1. 「水の都」ベネチアへの大型クルーズ入港が禁止に
    1. オーバーツーリズムへの本格的な対策で「危機遺産」登録を回避か

「水の都」ベネチアへの大型クルーズ入港が禁止に

イタリア政府は、2021年8月1日からベネチアへの大型クルーズ船入港を禁止することを発表しました。重量2万5000トン以上、長さ180メートル以上などの条件に該当する船を対象に、サン・マルコ広場の周辺の運河などに入れなくするということです。

オーバーツーリズムへの本格的な対策で「危機遺産」登録を回避か

ベネチアは、「水の都」と呼ばれており、観光大国イタリアの中でも周辺地域は高い知名度と人気を誇っています。

しかし、多くの観光客が押し寄せる影響により、一部の地域住民からは不満や反対の声が上がっていました。大型船が街の景観を損ねている、クルーズ船が起こす波によって街の基礎が侵食されているなどのオーバーツーリズムの問題が生じていたのです。

2021年6月には、コロナ禍による行動制限が緩和されて以来初めてのクルーズ船がベネチアから出港しましたが、観光再開を喜ぶ労働者、市当局とは反対に、ボートに乗ってクルーズ船の周りから抗議の声をあげる人も見られました。

同月には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が、ベネチアを価値が失われる恐れがある「危機遺産」に登録することを勧告しています。

そうした中で、オーバーツーリズムへの対策として、そしてベネチアが「危機遺産」に登録されることを回避するために、イタリア政府はベネチアへの大型クルーズ船入港を禁止することを発表しました。

イタリアの国際クルーズ産業業界団体CLIAのディレクターであるフランチェスコ・ガリエッティ氏は、クルーズ船の代替ルートを歓迎し、今回の政府の発表を「大きな前進」と呼んだということです。

また、ダリオ・フランチェスキーニ議員は、クルーズ船入港禁止の発表について、自身のTwitterで「約束を守ったことを誇りに思う」とコメントしています。

イタリア、8月からベネチアへの大型クルーズ船入港を禁止に オーバーツーリズム対策を本格化
▲ダリオ・フランチェスキーニ議員のクルーズ船入港禁止の発表に関する投稿:ダリオ・フランチェスキーニ議員Twitterより編集部スクリーンショット(画像=『訪日ラボ』より引用)

Twitter:ダリオ・フランチェスキーニ議員の投稿

ヨーロッパでは、現在ワクチン接種の進展に伴って国際観光が徐々に再開しています。夏の本格的な観光シーズンには多くの観光客が訪れることを見越し、再びオーバーツーリズムの問題が生じることを懸念しての決断だと考えられます。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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