東南アジアEC大手のShopeeが、中南米市場への進出強化の動きを見せています。
同社は中南米市場において、すでにブラジルをはじめメキシコにも進出していますが、さらにチリとコロンビアでも無料配送サービスを開始しました。
中南米最大級のECモール「メルカドリブレ」など競合他社がひしめくなか、アジア発のShopeeがどこまで中南米市場に食い込めるか、今後の動向が注目されます。
目次
Shopee、チリとコロンビアで無料配送サービス開始
東南アジアEC大手のShopeeは2021年6月、南米チリとコロンビアで事業を開始しました。
チリ・コロンビア向けSNSアカウントをオープン
2021年6月5月、ShopeeはFacebookとInstagramの各SNS上で、チリ向けとコロンビア向けのアカウントに初めて投稿をしました。
これによりチリとコロンビアで無料配送サービスが開始されることが明らかになり、6月8日にはオープニングセールが開始され、それぞれの公式サイトも開設されています。
7月2日時点で、コロンビア向けのInstagramアカウント「shopee_co」は約1.3万人、チリ向けアカウント「shopee_cl」は約7,600人のフォロワーを集めています。
2019年にはブラジルに進出
2015年に立ち上げられたShopeeは、シンガポール発のECプラットフォームで、シンガポールのほかインドネシアやマレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンなど東南アジアのほか、台湾に展開してきました。
さらに2019年10月にブラジルに進出し、2021年2月にはメキシコでもサービスを開始するなど、近年では中南米市場への進出も進めています。
市場をテストするため小規模に開始されたブラジル事業は、2020年末には従業員250人を超え、規模を拡大しています。
成長する中南米のEC市場に食い込めるか
Shopeeが進出を強化する中南米では、インターネット普及率が世界平均を上回っており、コロナ禍でEコマースの盛り上がりもみられています。
中南米のネット普及率は7割超、コロナ禍でEコマース盛り上がり
最大国ブラジルの2億人をはじめ、6億人以上の人口を擁する中南米地域は、インターネット普及率も高くEC市場として注目されています。
Internet World Statsのデータによれば、2021年3月末時点で、「ラテンアメリカ・カリブ海」地域におけるインターネット普及率は75.6%となっています。
これは「北米」の93.9%、「欧州」の88.2%に次ぐ高さで、世界平均の65.5%を上回っています。
近年、新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出規制や、商業施設の営業制限により、Eコマースは中南米でもいっそうの盛り上がりを見せています。
2020年夏にチリで行われた国内最大級のECイベント「サイバーデー」は、売上高が前年比42.6%となる3億6,800万ドルにのぼり、過去最高を記録しました。
中南米最大級のECサイト「メルカドリブレ」など競合も
中南米のEC市場においては、1999年に設立された「MercadoLibre(メルカドリブレ)」が、中南米最大級のECプラットフォームとして有名です。
メルカドリブレは、本社のあるアルゼンチンをはじめ、ブラジルやメキシコ、コロンビア、チリ、ウルグアイなど、中南米の18か国で展開しています。
2020年10月には、チリで初となる流通センターを、都圏州のプダウエル区に設立するなど、積極的な投資も進めています。
さらに米アマゾン・ドット・コムも、2017年10月にブラジルで事業を開始し、中南米市場への進出を進めています。
すでにメルカドリブレなど地場企業が存在感を示す中南米市場において、Shopeeがどこまで食い込めるか、今後の展開が注目されます。
文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ
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