ビジネスを後押ししてくれる法人・ビジネスカードは、個人事業主から会社社長まで幅広いビジネスパーソンにメリットを与えてくれるクレジットカードだ。ここではカードの選び方などの他、年会費無料・格安のカード5枚も併せて紹介しよう。

目次

  1. 1,法人・ビジネスカードの種類――まず押さえておきたい4つの違い
  2. 2,主なカード会社の法人・ビジネスカードの種類――カード会社により異なる呼び方
  3. 3,法人・ビジネスカードの5つのメリット――ビジネスの効率が上がる
  4. 4,法人・ビジネスカード選びの5つのポイント――誰が使うか、どう使うかなどが要点に
  5. 5,年会費無料・格安の法人・ビジネスカード5枚を紹介――入門編カードとしてもおすすめ
  6. 6,法人・ビジネスカードのデメリット・注意点――キャッシング、連帯保証人、利用可能枠
  7. 7,法人・ビジネスカードに申し込む前に――審査での注意点

1,法人・ビジネスカードの種類――まず押さえておきたい4つの違い

法人・ビジネスカードには「ビジネスカード」や「コーポレートカード」といった種類があって分かりにくい。まずはこの点から説明しよう。

ビジネスカードとコーポレートカードの違い

一般的にビジネスカードとは、個人事業主・中小企業向けのカードをいい、大企業向けがコーポレートカードと呼ばれることが多い。

ただし、カード会社により定義は異なる。例えば、JCBは個人事業主・中小企業向けを「法人カード」、大企業向け個人決済型カードを「ビジネスカード」、大企業向け会社決済型カードを「コーポレートカード」と呼んでいる。

「会社決済型」か「個人決済型」か?

JCBの説明でも出てきたが、法人・ビジネスカードには法人口座からカード利用金額が引き落とされる会社決済型と個人口座から引き落とされる個人決済型のカードがある。

これは「個人決済型=個人事業主向け」と考えてしまいがちだが、そうとは限らない。JCBのように大企業向けの個人決済型カードもある。あるいは、会社決済型と個人決済型を自由に選べるカードもある。

2,主なカード会社の法人・ビジネスカードの種類――カード会社により異なる呼び方

では、以上を踏まえた上で、一例として三井住友カードとJCBにおける法人・ビジネスカードの種類を説明しよう。

三井住友カード

三井住友カードには主に、中小企業向けの「三井住友ビジネスカード」と、大企業向けの「三井住友コーポレートカード」がある。

カード名 会員対象 決済口座 備考
三井住友
ビジネスカード
法人 法人口座 ・カード使用者は20名未満が目安
・キャッシングは海外のみ可
三井住友
コーポレートカード
大企業 法人口座/個人口座
※選択可能
・カード使用者は20名以上が目安
・カード利用者ごとに利用枠設定可能
・キャッシング可(個人決済型は不可)
(※三井住友カードのホームページを元に筆者作成)

JCB

JCBカードには、主に中小企業の経営者や個人事業主向けの「JCB法人カード」、個人決済型の大企業向けカード「JCBビジネスカード」、会社決済型の大企業向けカード「JCBコーポレートカード」がある。

カード名 会員対象 決済口座 備考
JCB法人カード 法人代表
個人事業主
個人口座
屋号付き口座
法人口座
・使用者カードの発行可能
JCBビジネスカード 大企業 カード利用者の個人口座 ・個人(使用者カード)年会費無料
JCBコーポレートカード 大企業 法人口座 ・個人(使用者カード)年会費無料
(※JCBのホームページを元に筆者作成)

――これを見ても分かるように、法人・ビジネスカードの呼び方はカード会社によって異なる。実際のカード選びでは名称だけで特徴を判断せず、それぞれの詳細を見た方がよい。

3,法人・ビジネスカードの5つのメリット――ビジネスの効率が上がる

法人・ビジネスカードのメリットを次の5つに整理して紹介しよう。

メリット1,経費精算などの手間が簡略化できる

法人・ビジネスカードの主な用途は経費の支払いだ。支払いをカードに集約することで経費の状況が一目瞭然となる。社員との現金のやり取りがなくなるため、毎月の経費管理の手間が大幅に簡略化できる。

カードによっては毎月の利用明細を経理・会計ソフトにそのまま取り込める形のデータでダウンロード・連携できるものもあり、さらに便利だ。

また、これまでオフィスサプライの代金や家賃を振込で支払っていたものをカード払いにすると、振込手数料がかからず、さらにその分のポイントも付与されるなどしてコスト削減につながる。

メリット2,キャッシュフローを改善できる

カード利用日から実際の支払日まで時間の猶予があるため、事業資金の計画的な運用がしやすくなる。売上の見込みがあるが、手元の資金が十分になく動けないといった場合でも、分割払いをうまく利用してキャッシュフローを改善すれば、貴重なビジネスチャンスを無駄にしなくて済む。

一般的に中長期的ビジョンに基づく資金調達は銀行から融資を受けるなどするが、手元の資金が少しだけ足りない場合にクレジットカードの分割払いのメリットは大きい。法人税などの国税もクレジットカードの分割払いにすれば、一度に資金が出ていくことを避けられる。

メリット3,ビジネスに役立つ特典・サービスを利用できる

法人・ビジネスカードの多くには、ビジネス関連の特典・サービスが用意されている。ビジネスサプライや各種ビジネスサービスの優待、福利厚生サービス、出張で利用できる宿泊優待など、カードによりさまざまだ。上手に利用すれば、経費削減や労働環境の改善に役立つだろう。

メリット4,カードランク次第で取引先の信頼を得られる

あるアンケート調査では、同行者のカードランクを気にしている人は少なくないという結果が出た。ビジネスの場ならなおのことで、ランクの高いカードほど一目置かれることになるだろう。

とはいえ、背伸びしても仕方がないので、個人事業主やスタートアップ企業の代表者が無理して高額な年会費のカードを持つ必要はない。ハイステータスカードは将来の目標にして、まずは身の丈に合ったカードを持つのもいいだろう。

メリット5,公私の支払いを区別しやすい

個人事業主の場合、個人の支払いと事業上の支払いが混在してしまいがちだが、個人用カードとビジネスカードを別に持つことで公私の支払いを区別しやすくなり、経費管理も大幅に楽になる。

4,法人・ビジネスカード選びの5つのポイント――誰が使うか、どう使うかなどが要点に

法人・ビジネスカードを選ぶときには、各カードの特徴を把握した上で会社の運営形態や社員の経費の使い道などから検討することになる。

ポイント1,企業規模、追加カードの利用人数

個人事業主や社長だけがカードを利用するのか、それとも社員に持たせるのかにより選ぶカードが異なってくる。ただし、追加カード(社員カード)が発行可能であっても、枚数に上限が設定されていることがあるのでよく確認したい。また、追加カードを多く発行する場合はその年会費も念頭に置く必要がある。

カードの案内に「大企業向け」とある場合、JCBでは社員100人以上の企業を、三井住友カードでは、従業員約30名以上の企業を想定しているようだ。自身の会社が何に該当するか分からない場合は、カスタマーサポートに聞いてみるといいだろう。

ポイント2,カード利用限度枠とカードランク

ゴールドやプラチナなどカードランクが高くなると、審査の難易度が上がる代わりに利用限度枠が高く設定されることも多い。一部のカードでは、事前の承認や入金などにより一時的に限度枠を上げられることがあるので、そうした必要があるならそのような仕組みがあるかどうかチェックしておきたい。

ポイント3,国内利用メインか? 海外でも利用するか?

国内利用がメインなら国内での優待が充実したカードを選ぶといいだろう。特に会食などが多いなら高級レストランの優待付きのカードが便利でお得だ。

一方、海外出張の機会が多いなら、海外旅行傷害保険や海外ホテル・レンタカーなどの優待が充実したカードを選ぶといいだろう。また、海外利用分がポイントアップするカードやマイルが貯まりやすいカードも適している。

ポイント4,業務にマッチした特典・サービスがあるか

ビジネス関係の特典・サービスと一言にいってもさまざまなものがある。例えば大企業向けのサービスは個人事業主には使いどころがなく、その逆も同じことがいえる。特典・サービスは多く付帯していればいいわけではなく、業務に合ったものがあるかどうかが重要だ。カード選びでは、その点をよく見極めたい。

ポイント5,カードの利用目的・方法に合った決済方法か

法人口座で一括決済する場合、支払いデータと決済が一括管理できるので経費管理はシンプルになるが、社員の私用を見逃しやすいリスクがある。カード会社によっては社員各自が決済する形になるものもあり、この方がきちんと管理できるケースもあるだろう。

そのようにカードの利用目的に合った決済方法を選べるかどうかで検討してみよう。経理担当者が別にいるなら、その者に意見を聞いてもいいだろう。

5,年会費無料・格安の法人・ビジネスカード5枚を紹介――入門編カードとしてもおすすめ

ここでは法人・ビジネスカードを初めて作る人のために、無料も含めて手頃な年会費のカード5枚を紹介する。これらのカードで試してから、自らのビジネスにおけるニーズを見極め、改めてカードを選びなおしてもいいだろう。

5-1,三井住友ビジネスカード for Owners(一般)……条件クリアで年会費無料に

年会費 1,375円(税込)※初年度無料
パートナー会員1名につき440円(税込)
入会資格 個人事業主または法人代表者
追加カード ETCカード
iD
WAON
プラスEXカード
PiTaPa
カード利用代金
決済方法
個人口座
法人口座
国際ブランド VISA
MasterCard
通常ポイント還元率 0.5%
ビジネスサービス・優待 ・「勘定奉行」とのデータ連携サービス
・福利厚生代行サービス
・ビジネス用じゃらんnetホテル予約
・タクシーチケット発行(手数料有料)
・国内ゴルフ場エントリーサービス(有料)など
《以下、VISAのみ》
・Visaビジネスオファー(各種ビジネス優待)
・Visaビジネスグルメオファー(高級レストラン優待)
付帯保険 海外旅行傷害保険(利用付帯)
ショッピング保険(海外)
(※三井住友カードのホームページを元に筆者作成)

「三井住友ビジネスカード for Owners(一般)」は、個人事業主または法人代表者が作ることが可能だ。年会費は1,375円(税込)。初年度は無料で、WEB明細書サービスを利用すると年会費825円(税込)に。自動リボ払いサービス「マイ・ペイすリボ」とリボ払い手数料の支払いにより年会費無料となる。

従業員への追加カード発行は発行を受ける者が「パートナー会員」になる必要があり、年会費は1名につき440円(税込)。パートナー会員はETCカードやプラスEXカードなどの発行を受けることも可能だ。なお、カード券面には会社名と使用者名がローマ字で入る。

・ビジネスサービス・優待

財務会計システム「勘定奉行」とのデータ連携サービス、国内外1,000ヵ所の宿泊施設やスポーツクラブなどを割引料金で利用できる福利厚生代行サービス、ビジネス用じゃらんnetホテル予約、タクシーチケット発行(手数料有料)、国内ゴルフ場エントリーサービス(有料)などが提供される。

また、国際ブランドにVISAを選ぶと、オフィスサプライ通販やレンタルオフィス、クラウド会計サービスなどの優待を利用できる「Visaビジネスオファー」や、全国の高級レストランで優待を利用できる「Visaビジネスグルメオファー」も使える。

・付帯保険

旅行代金のカード払いにより最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯。海外ショッピング分には、年間100万円限度のショッピング保険が付帯する(自己負担額1事故3,000円)。

・ポイントサービス、その他の特徴

クレジット利用で貯まるポイントは「Vポイント」で通常の還元率は0.5%。ただし、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドでは2.5%還元に、また対象店舗から選んで登録した3店舗では1%還元となる。

・こんなケースにおすすめ ビジネスカードの基本的なサービスと三井住友カードのステータス性を格安年会費で利用してみたい場合におすすめの1枚。

5-2,セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード……追加カード4枚まで無料

年会費 1,100円(税込)
追加カード4枚まで発行無料
入会資格 個人事業主または法人代表者
追加カード ETCカード
カード利用代金 決済方法 個人口座
法人口座(要・代表者名併記)
国際ブランド アメリカン・エキスプレス
通常ポイント還元率 0.5% 海外1%
ビジネスサービス・優待 ・対象サービスでポイント4倍(2%還元)
・「G-Searchデータベースサービス」1年間無料
・レンタルサーバーなどの優待
・アメックスブランドのビジネスカード優待
「ビジネスアドバンテージなど
付帯保険
(※セゾンカードのホームページを元に筆者作成)

「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」は個人事業主または法人代表者が作ることができ、年会費は1,100円(税込)。社員などに持たせられる追加カードは4枚まで無料発行できる。なお、納税など高額の利用があるときには一時的な利用限度枠の増枠も可能だ。

・ビジネスサービス・優待

aws(Amazonウェブサービス)、クラウドワークス、ヤフービジネスサービス、サイボウズなど主にネット関連ビジネスサービスの利用分がポイント4倍になる(2%還元)。

その他、ビジネス情報サービス「G-Searchデータベースサービス」1年間無料、ワークスペース「WeWork」、レンタルサーバー「エックスサーバー」、法人向けモバイルWi-Fi 「No.1モバイル」、会計・給与クラウドサービス「かんたんクラウド」などで優待を受けられる。

以上はこのカードの限定サービスだが、その他、アメックスブランドのビジネスカード共通の優待「ビジネスアドバンテージ」として、西濃運輸、ハーツレンタカー、DHL、オフィス・デポなどで割引などの優待を受けられる。

・ポイントサービス、その他の特徴

クレジット利用で貯まるポイントはセゾンの「永久不滅ポイント」となり、通常のポイント還元率は0.5%。ただし、海外ショッピング利用分は2倍の1%還元、スターバックスカード購入分は10倍の5%還元だ。

また、ポイント提携店「ボーナスポイント・パートナーズ」加盟店では、ポイントが2倍~最大10倍となる。

・こんなケースにおすすめ

社員などに持たせられる追加カードを4枚まで無料で発行できるので、小さな会社でカードにかかるコストをなるべく抑えたい場合にメリットが大きい。レンタルサーバーなどネット関連の優待も充実しているので、IT系の小規模ビジネスにも向いている。

ただし、保険は付帯していないので必要ならば別途付帯保険付きカードを作るか、必要に応じて契約する必要がある。

5-3,JCB CARD Biz……海外・国内とも最高3,000万円の旅行傷害保険

年会費 1,375円(税込) ※初年度無料
※追加(社員)カードの発行なし
入会資格 個人事業主または法人代表者
追加カード ETCカード
QUICPay
カード利用代金 決済方法 個人口座
法人口座
屋号付き個人口座
国際ブランド JCB
通常ポイント還元率 0.5%
ビジネスサービス・優待 ・「弥生会計 オンライン」「freee」と連動可能
・「JCB.ANA@desk」で専用運賃
・タクシーチケット購入可
・福利厚生サービス「福利厚生倶楽部」
付帯保険 海外旅行傷害保険(利用付帯)
国内旅行傷害保険(利用付帯)
ショッピングガード保険
(※JCBのホームページを元に筆者作成)

「JCB CARD Biz」は法人代表者または個人事業主が作ることができ、年会費は1,375円(税込)。初年度は無料。社員などに持たせる追加カードは発行されない。

・ビジネスサービス・優待

カード利用明細のデータは会計サービス「弥生会計 オンライン」「freee」と連動可能。その他、ANAで専用運賃が適用される「JCB.ANA@desk」、JR東海「エクスプレス予約」サービス、じゃらんコーポレートサービスなど出張に便利なサービスの利用、タクシーチケット購入、保養所・スポーツクラブで割引適用となる「福利厚生倶楽部」などが提供される。

・付帯保険

旅行代金をカードで支払うと海外・国内とも最高3,000万円の旅行傷害保険が付帯。海外ショッピング分に最高100万円のショッピング保険が付帯する(自己負担額1事故1万円)。

・ポイントサービス、その他の特徴

クレジット利用で貯まるポイントは「Oki Dokiポイント」で、通常のポイント還元率は0.5%。ただし、ポイント優待店では倍付けされ、例えばAmazonや高島屋、小田急百貨店、セブン-イレブンでは3倍(1.5%還元)、洋服の青山、AOKIでは5倍(2.5%還元)、スターバックスカードチャージでは10倍(5%還元)となる。

その他、海外ショッピング利用分が2倍(1%還元)に。また、年間利用総額に応じて翌年のポイント付与率が変わる「JCBスターメンバーズ」により、最大50%アップ(0.75%還元)となる。

・こんなケースにおすすめ

社員などが持てるカードが発行されないので、個人事業主や代表者だけがカードを使うケースに限定される。格安の年会費の割に旅行傷害保険が非常に充実しているので、国内外の出張が多いならおすすめの1枚といえる。

5-4,ライフカードビジネスライト(スタンダード)……年会費無料だが付帯保険・ポイントサービスはない

年会費 無料
従業員カード3枚まで発行
入会資格 法人代表者
個人事業主
追加カード 従業員カード
ETCカード
カード利用代金
決済方法
個人口座
法人口座
屋号付き個人口座
国際ブランド JCB
通常ポイント還元率
ビジネスサービス・優待 クラウド会計ソフト「freee」割引クーポン
・弁護士無料相談サービス
・「タイムズカープラス」会員カード発行手数料無料
・福利厚生サービス「ベネフィット・
ステーション」の入会金無料

《VISA》
・Visaビジネスオファー
(各種ビジネス優待)
・Visaビジネスグルメオファー
(高級レストラン優待)

《MasterCard》
・Mastercard ビジネス・アシスト
(各種ビジネス優待)
付帯保険

(※ライフカードのホームページを元に筆者作成)

「ライフカードビジネスライト(スタンダード)」は法人代表者または個人事業主が作ることができ、年会費は無料。社員などが使える従業員カードは3枚まで発行可能となっている。なお、カード券面には企業名と使用者名、あるいは個人事業主では屋号と使用者名が記載される。

・ビジネスサービス・優待

ライフのビジネスカードのサービスとして、クラウド会計ソフト「freee」で使える2,000円割引クーポンの提供、初回のみ電話・面談による法律相談が1時間無料となる「弁護士無料相談サービス」、カーシェアリング「タイムズカープラス」会員カード発行手数料無料、福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」の入会金無料などの優待が提供。

その他、国際ブランドにVISAを選ぶと、「三井住友ビジネスカード for Owners(一般)」のところでも説明した「Visaビジネスオファー」と「Visaビジネスグルメオファー」も利用できる。

一方、MasterCardを選ぶと「Mastercard ビジネス・アシスト」として、クラウド型交通費・経費精算システム「経費Bank」の初期導入費用無料、経費精算システム「eKeihi」初期登録費用無料、ソフトバンク「0063携帯電話使い分けサービス」通話料金20%オフ、「じゃらんコーポレートサービス」ポイント追加付与(1%分)などの優待を利用可能だ。

・ポイントサービス、その他の特徴

付帯保険とポイントサービスは提供されない。

・こんなケースにおすすめ

付帯保険とポイントサービスがない代わりに年会費無料で、さまざまなビジネスサービスを利用できる、ある意味でとがった特徴を持つカードだ。この特徴をよく理解して割り切って使える人に向いている。カード自体の保有コストはゼロなので、自身のビジネスにメリットのあるサービスが1つでもあれば、そのためだけに取得してもいいだろう。

5-5,NTTファイナンスbizカード レギュラー……ポイント還元率1%、ガソリンも安く買える

年会費 無料
使用者カード無料
入会資格 法人
個人事業主
追加カード ETCカード
カード利用代金
決済方法
個人口座
屋号名口座
法人口座
国際ブランド VISA
通常ポイント還元率 1%
ビジネスサービス・優待 ・Web明細編集サービス
・「Amazon Business」登録
・福利厚生優待サービス
「ベネフィット・ステーション」優待価格
・出光キャッシュバックシステム
・Visaビジネスオファー
(各種ビジネス優待)
・Visaビジネスグルメオファー
(高級レストラン優待)
付帯保険 海外旅行傷害保険(自動付帯)
国内旅行傷害保険(利用付帯)
ショッピング保険
(※NTTファイナンスのホームページを元に筆者作成)

「NTTファイナンスbizカード レギュラー」は、法人あるいは個人事業主が作ることができ、法人の場合は連帯保証人が必要となる。年会費は無料で、社員などが使える使用者カードも年会費無料だ。

・ビジネスサービス・優待

ウェブ明細にメモなどを追加できる機能の他、法人向け割引などが利用できる「Amazon Business」への登録、福利厚生優待サービス「ベネフィット・ステーション」の優待価格、出光SSでガソリンなどがお得になる「出光キャッシュバックシステム」を利用できる。

その他、「三井住友ビジネスカード for Owners(一般)」や「ライフカードビジネスライト(スタンダード)」でも触れた「Visaビジネスオファー」と「Visaビジネスグルメオファー」も利用可能だ。

・付帯保険

最高2,000万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯。そのうち国内は旅行代金のカード払いが条件となる。年間100万円限度のショッピング保険が付帯する(自己負担額1事故1万円)。

・ポイントサービス、その他の特徴

ポイント還元率は1%。貯めたポイントは賞品交換やキャッシュバックの他、電子ギフト、ギフトカード、他社ポイントなどへの交換も可能だ。

・こんなケースにおすすめ

このカードで特筆すべき点はポイント還元率の高さだ。開業したばかりなど少しでも節約したい局面では大きなメリットとなってくれるだろう。また、外回りでクルマの利用が多いなら「出光キャッシュバックシステム」もメリットが大きい。

6,法人・ビジネスカードのデメリット・注意点――キャッシング、連帯保証人、利用可能枠

法人・ビジネスカードのデメリットや注意点も触れておこう。

デメリット・注意点1,キャッシングが使えないことがある

ここで紹介した5枚のカードは個人事業主でも作れるタイプのカードだったが、法人しか作れないカードの場合は通常、キャッシングはできないことが多い。できない理由は高金利のキャッシングで事業資金を用立てるような企業があるとすれば、経営状態がかなり不安定ということになるからだ。

しかし、「現金がちょっと必要」なときにキャッシングが便利なこともあるのも事実で、その点で法人カードは不便と感じられるケースも出てきそうだ。なお、現地通貨を手軽に引き出せる海外キャッシングに関しては法人カードでも使えることが多い。

デメリット・注意点2,連帯保証人が必要なことがある

法人しか作れない法人カードのほとんどでカード入会時に連帯保証人が必要となる。これは、倒産による貸し倒れリスクを避けるためで、通常、法人代表者や役員が個人として連帯保証人になることが多い。

法人カードの場合、入会時の必要書類として法人が実在する証明として登記簿謄本などの提出を求められる。また、申請者本人の本人確認書類も必要となる。

デメリット・注意点3,利用可能枠は大きいとは限らない

法人・ビジネスカードだからといって、利用可能枠が大きいとは限らない。特に個人事業主や法人代表者が作れるカードではその個人が審査対象になることもあって、個人向けカードとあまり変わらない利用可能枠となるだろう。

また、同じカード会社で個人向けカードをすでに持っている場合、そちらの利用可能枠と合計の枠として判断されるケースがあり、ビジネスカードの枠が思ったよりも小さいケースもありえる。

7,法人・ビジネスカードに申し込む前に――審査での注意点

カード会社によってはオフィスが実在しているか否かを重視しており、固定電話回線の有無の他、バーチャルオフィスではないかもチェックしている。また、同じような理由で会社(あるいは屋号名)のウェブサイトもないよりはあった方がいいようだ。

このように法人・ビジネスカードは申し込む上で個人カードとは少し異なるところがあり、戸惑うこともあるだろう。

それでも、ビジネスに活用できる種々の特典・サービスが充実しているので、何らかのビジネスを手掛けている人なら、年会費負担とのバランスを考えつつ1枚は取得しておいてもいいだろう。

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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