総務省関係人口ポータルサイトによると「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉だと定義されています。

関係人口とは何か、その概念が生まれた背景と、取り組み事例、そしてどのように関係人口を増やすべきなのかのヒントを示したうえで、その課題について説明します。

目次

  1. 関係人口とは|地域と多様にかかわる人々
    1. 関係人口の背景
    2. 交流人口、定住人口との違い
  2. 関係人口創出、拡大に向けての取り組み事例
    1. 国としての取り組み事例|モデル事業登録など
    2. 地方としての取り組み事例
    3. 企業としての取り組み事例
  3. 関係人口を増やすための視点|地域に携わるファンを作る
  4. 関係人口の課題
  5. 観光業界も無関係ではない関係人口の造成

関係人口とは|地域と多様にかかわる人々

総務省関係人口ポータルサイトによると、「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。

地域によっては、若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めています。

これを「関係人口」と呼び、地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。

関係人口となるきっかけには、過去にその地域で働いた経験や、観光で訪れてその地域を好むようになったことなどが挙げられます。

そのなかには日本人だけでなく、その観光地にリピーターとして訪れる訪日外国人も含まれます。

関係人口の背景

地方圏では、少子高齢化によって、地域づくりの担い手不足という課題に直面しています。

関係人口とは?少子高齢化社会では必須、地域へのファンづくりの一環としても注目
▲観光交流人口増大による定住人口の補完のしくみ:訪日ラボ(画像=『訪日ラボ』より引用)

地方圏での定住人口が1人減ることにより、約125万円の経済損失が生まれます。

担い手不足、経済損失を補填できるのが、関係人口の存在といえます。

特に外国人での関係人口とされるリピーターの場合、1回あたりの支出額が大きいため、経済損失補填に大きく寄与します。

交流人口、定住人口との違い

交流人口は、観光などで来たことがあるものの、地域についてはほとんど分からない人々のことで、一般的な意味での「観光客」はここに含まれます。

また定住人口は、その地に住民票を移し住んでいる人のことで、一般的に「人口」と呼ばれます。

関係人口はこの間を指し、積極的に地域と関わり合いを持とうとしているものの、住んではいない人々のことを指します。

関係人口創出、拡大に向けての取り組み事例

関係人口の創出、拡大に取り組み事例として、全国的な取り組みと、各都道府県、そして企業の取り組みについて紹介します。

国としての取り組み事例|モデル事業登録など

総務省では2018年より「関係人口創出・拡大事業」を実施しており、そのモデル事業を採択しています。

全国的に優れた自治体の取り組みを採択しており、2020年には全25団体が登録を受けました。

また地方創生の一環として、「地域おこし協力隊」や「お試しサテライトオフィス」、「ふるさとワーキングホリデー」などのプログラムがあります。

総務省が主催する「地域おこし協力隊」は、1年以上3年未満程度の間に、実際に住民票を移して15万円程度の給与(住宅など必要な経費は自治体が負担)を受け取りつつ、中山間地域や過疎地などで物産品のPR支援や住民の生活支援を行うものです。

令和2年(2020)度で約5,500名の隊員が全国で活動していますが、この隊員数を令和6年(2024)度に8,000人に増やすという目標を掲げており、この目標に向けて地域おこし協力隊等の強化を行うとしています。

「お試しサテライトオフィス」は、本拠を中心として見た時に、「サテライト(衛星)のように存在するオフィス」との意から命名されました。

このプロジェクトでは、サテライトオフィス開設を検討するにあたって、お試し勤務を実施する企業が募集されています。

「ふるさとワーキングホリデー」は、都市部に暮らす若者が一定の間地方に滞在し、地域の人たちとの交流や学びを通じて、地方を丸ごと体感し関わり合いを深めるものです。

内閣官房まち・ひと・しごと創生事務局内閣府地方推進室でも、2020年10月16日、関係人口創出・拡大に向け熱意とアイディアを持つ、全国の中間支援団体、民間事業者、地方公共団体等による「かかわりラボ(関係人口創出・拡大官民連携全国協議会)」を設立しました。

地方としての取り組み事例

九州農政局では、台湾、香港向けに農泊を実施し、農家が受け入れをして実際に農業体験ができる農山漁村滞在型旅行に取り組んでいます。関係人口のターゲットをインバウンド客にまで拡大した一例だと言えます。

また全国的な関係人口の意識に関しての調査も行われています。株式会社ブランド総合研究所が2021年2月17日から23日にかけて、全国の約2万人を対象として「関係人口の意識調査2021」を実施した結果を、3月15日に発表しました。

各都道府県の出身者(居住者を除く)と、応援者(居住者および出身者以外にその都道府県を「応援したい」と思っている人)を合わせて「関係人口」として、その数を調べたところ、「福島県」が1,229万人で最多となりました。

2位が「沖縄県」で950万人、3位が「北海道」で756万人などと続いています。

福島県では先述の総務省「関係人口創出・拡大事業」において、令和元年度(2019年)モデル事業採択団体から矢祭町、平成30年度(2018年)モデル事業採択団体から天栄村が選出されています。

「関係人口創出・拡大事業」モデル事業として採択されたことも関係人口を意識することにつながったと考えられるでしょう。

企業としての取り組み事例

カヤックLivingはFREEPLUSと協働して「inbound SMOUT supported by FREEPLUS」を実施し、外国人の関係人口増加につなげる取り組みを行っています。

訪日外国人を対象として2018年から始まり、日本の伝統文化や地域の暮らしを体験してもらう機会を提供する内容となっています。

「観光以上、定住未満」を目的とし、地域への来訪を促す結果、地域の関係人口を増加させて、人口減への対策となることが期待されています。

関係人口を増やすための視点|地域に携わるファンを作る

その地域のコンテンツに魅力を感じるために、関係人口が増えるという流れがあります。

関係人口を増やすためには、ファンづくりの視点が大事となり、地域のマーケティングにもつながります。

関係人口の課題

関係人口の難しさとして、主に二つの課題が挙げられます。

まず「KPIとして関係人口の数を計りづらい」という点があり、自治体が関係人口創出のための予算化を行い事業を始める際に指針となるKPIが設定しづらいという問題があります。

リピーターとして1度でも来訪したら関係人口として定義するのか、もっと継続的に来訪し続ける人を対象とするのか、その定義は自治体によって異なります。

このような定義に沿って、どのようにアンケート調査するのかという課題があります。

さらに二つ目の課題として、関係人口創出の目的を明確化しづらいということが挙げられます。

定住を目的とするのか、避暑地や農業・漁業の手伝いといった関係人口の増加のみを目指すのか、目的によって地域づくりの方向性は変わってきます。

何を目的として関係人口の創出に取り組むのか、明確にしておく必要があります。

観光業界も無関係ではない関係人口の造成

関係人口とは、地域に深くかかわりあいを持つ、リピーターのような存在です。

少子高齢化のなか、人材不足や経済損失などを補填するためにも、関係人口は重要性を増しています。

総務省や内閣府なども、関係人口増大を推し進めており、実現のためには地域のコンテンツ作りが重要となってきます。

数値化しにくいなどという欠点はあるものの、地域に関わり合いを持つという意味では良い取り組みであるといえるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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