気候変動がポールシフトを誘発していたようです。

3月22日に『Geophysical Research Letters』に掲載された論文によれば、1990年代以降、極地の氷の融解と地下水などのくみ上げによる質量分布の変化が原因で、地球の回転軸にズレが生じているとのこと。

地球の回転軸は公転面に対して僅かに傾いており、四季をうみだす要因になっている重要な要素です。

軸が横転してしまうようなことはないものの、持続的な水の質量移動はジワジワと地球の回転にも影響を与えているようです。

目次


極地の氷の融解が地球の回転軸を変えていたと判明!
人間の活動が地球の回転にも影響


極地の氷の融解が地球の回転軸を変えていたと判明!

極地の氷の融解や地下水の汲み上げが 過去30年間で地球の回転軸をずらしていた!
(画像=前世紀は南側に移動していたが、2005年のグリーンランドの氷が融解が原因で東側に移動方向が変わってきた / Credit:NASA / JPL-Caltech、『ナゾロジー』より引用)

地球の回転軸は、地球内部のマントルの対流や海流と風の変化など、さまざまな影響を受けています。

しかし、水や氷の分布変化が与える影響は今世紀に入るまで詳しくわかっていませんでした。

ですが2002年に打ち上げられれた気候実験衛星により、重力場の測定値を利用して水や氷の変化を監視できるようになると、興味深い結果が観察されるようになりました。

例えば2005年に起きたグリーンランドの急速な氷の融解は、グリーンランドの質量を大きく削り、軸を東の方向へ、一気に移動させました。

この結果は、気候変動が地球の回転軸に大きな影響を与えていることを示します。

しかし、重力測定による詳細な観測が行われる以前のポールシフトに、どれほど気候変動が影響していたかを調べる試みは難航していました。

研究者たちは1995年から2020年にかけてのシフトが1981年から1995年の15年間でのシフトの17倍高速化したことを知っていたものの、氷の融解が原因だと断定には至っていませんでした。

そこで今回、研究者たちはシミュレーションを用いて、1990年代に起きたシフトと氷の融解の関連性を算出しました。

結果、極地からの氷の融解がシフトを起こすのに十分な質量移動であり、シフト全体の要因のほとんどを占めることを突き止めました。

また残りの要因の多くも、非極地地点での地下水のくみ上げなど、水の質量移動が原因でした。

どうやら現在の地球の回転軸は、マントルの流れや風の変化よりも、氷や水によって支配されているようです。

人間の活動が地球の回転にも影響

極地の氷の融解や地下水の汲み上げが 過去30年間で地球の回転軸をずらしていた!
(画像=グリーンランドの氷の融解が進めばさらなるポールシフトが発生する / Credit:Canva、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究により、過去から現代に至るまで、極地の氷の融解が地球の回転軸に一貫して大きな影響を与えていたことが明らかになりました。

氷の融解は二酸化炭素の排出に伴う気候変動の結果だと考えられており、従って地球の回転軸のシフトも人間の活動の結果と言えます。

また論文では2010年のインドだけでも351兆リットルの地下水を農地に移動させていることを指摘し、地下水のくみ上げもまた回転軸に影響を与えうると述べています。

回転軸のシフトは、現状ではまだ日常生活に影響を与える程ではありませんが、将来的には1日につき1ミリ秒(1000分の1秒)ほどの変化を与える可能性があるとのこと。

研究者たちは今後、水がどこにあったかをさかのぼって追跡し、さらなる影響を確かめていきたいと述べています。

参考文献
Climate change has been altering Earth’s axis for at least 30 years

元論文
Polar Drift in the 1990s Explained by Terrestrial Water Storage Changes

提供元・ナゾロジー

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