ラグジュアリーブランドコングロマリット企業のLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、同社が開発した真贋判別のためのソフトであるブロックチェーン「オーラ(Aura)」のコンソーシアム(企業連合)の設立に、「プラダ(PRADA)」及び「カルティエ(CARTIER)」が参加したことを4月20日に発表した。

「オーラ」はラグジュアリーブランド向けのトレーサビリティ(製造履歴管理)プラットフォームとして、マイクロソフト(Microsoft)及びコンセンシス(ConsenSys)の協力を得て、企業向けブロックチェーン基盤「クオーラム(Quorum)」を利用して開発された。「オーラ」はすでにLVMH傘下の「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」、「ブ ルガリ(BVLGARI)」、「ウブロ(HUBLOT)」で活用されている。例えば、昨年11月に、スイス製高級時計「ウブロ」がすべての製品に電子パスポートと保証システムを導入し、その情報が「オーラ」のブロックチェーンに登録されることが発表されている。

ラグジュアリーブランドにとって、最大の敵は、ライバル企業のラグジュアリーブランドでも新型コロナウイルスでもなく、「偽造品」=偽物であることはよく知られているが、この撲滅をはかるべく業界最大手のLVMHはこの「オーラ」を開発した。

偽造グループはブランド側が開発した偽造防止のさまざまなシステムに打ち勝って、堂々と偽造品を市場に流通させて来た。しかし、このブロックチェーンを用いた「オーラ」は、偽造防止の決定打と専門家の間では言われている。今回「プラダ」や「カルティエ」が非営利のコンソーシアム「オーラ・ブロックチェーン」設立に参加したのは、「オーラ」の優位性を認めたからだろう。

1990年代の「グッチ(GUCCI)」買収騒動の際にLVMHに加担した「プラダ」の加盟は特に驚くに値しないが、LVMH、ケリングと並んで3大ラグジュアリーグループとされるリシュモン(Richemont)の最大ブランドである「カルティエ」が今回この「オーラ・ブロックチェーン」設立に加わったことは、そのシステムの優秀性を証明していると思われる。

今後、コンソーシアムにケリングのブランドが加わるようだとますますその優秀性が認識されるようになるだろう。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

【関連記事】
「オニツカタイガー」からファッションと快適性の両面にこだわった新作シューズが登場
「ニューバランス」から90年代のアウトドア小物に着想を得た限定カラーの「992」が登場
「ザ・ノース・フェイス」が独自に開発した防水透湿素材を使用したコーチジャケットを発売
「ミズノ」が高反発ソール素材を搭載したランニングシューズ「WAVE AERO 19」を発売
「ナイキ」から環境に配慮したバスッケトボールシューズが誕生