業績向上や業務の効率化の方法として広く浸透し、多くの企業で成果を発揮しているPDCAサイクル。

一方で「PDCAサイクルがうまくいかない」「続かない」「PDCAはもう古い」という声もあり、導入の効果は様々です。

今回はPDCAとは何か、PDCAサイクルを有効に活用するポイントや、失敗に繋がる原因と対策を紹介していきます。 マーケティングの担当者は参考にしてみてください。

目次
1.PDCAとは
2.PDCAの成功例
3.PDCAが失敗する理由
4.WEBマーケティングにおけるPDCA
5.PDCAサイクルを活用したWEBマーケティング
6.PDCAを効率よく回すための環境づくり
7.まとめ

PDCAとは

PDCAとはPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字で、P→D→C→A→P→D・・・と4つの段階をサイクルしながら目標を達成するために生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していく手法のことのことです。

現在では多くの企業がPDCAを取り入れ、マーケティングに限らず業種や職種を問わず活用されています。

PDCAサイクルを回すことで、目標やそこに至るためのKPI、KGIやプロセスの質や精度が向上します。

明確な目標が立っていないと、具体的に行動を起こすことができない、何をすれば良いのか分からないという状況に陥りかねません。

PDCAでは具体的な計画を立てて自分がやるべきこと、向かっているゴールを把握しているのでモチベーションが維持でき、目標達成に繋がっていきます。

また、評価基準を定めることで成功例・失敗例を客観的に分析できるので、改善点の気付きや業務効率が向上するというメリットもあります。

PDCAの4つのステップ PDCAには4つのステップがあり、それぞれのステップを的確に繰り返し実施することで成果に繋げていきます。

Plan(計画):目標を設定して行動計画を立てること

Do(実行):Planで決めた行動計画を実行すること

Check(評価):Planで決めた計画に沿って行動ができたか評価し分析すること

Action(改善):評価結果をベースに継続すべき行動と改善すべき行動を検討すること

PDCAの成功例

今では多くの人が知っている有名な企業が、PDCAサイクルを活用し、成果を出した具体的な例を紹介します。

成功事例1:無印良品

店舗ごとや個人によって、知識やサービスの品質に差が出ないように、全スタッフのノウハウの平準化を目指しました。接客や業務内容をマニュアル化し(P=計画)、スタッフがマニュアルに基づいて日々の業務に取り組み(D=実行)、定期的に実務における気付きを社内で共有しながら(C=評価)、マニュアルへの反映(A=改善)を繰り返しました。

マニュアルは一度作成したら完成ではないと考え、PDCAを活用しながらマニュアルの完成度を上げていきました。結果的に全スタッフが、顧客に対して高い水準のサービスを提供できるようになり、業績の向上に大きく貢献しました。

成功事例2:ソフトバンク

ソフトバンクにおけるPDCAサイクルは「高速PDCA」と呼ばれています。大きな目標の下に小さな目標を立て、日・週・月単位でチェックする体制を作り(計画=P)、期間を決めて複数の方法を同時に進め(D=実行)、うまくいった点・悪かった点の検証(C=評価)は毎日行います。

検証の結果、最も効果があった方法に絞って力を入れていく(A=改善)というスピード感のあるPDCAサイクルを繰り返しながら、多岐に渡る事業を展開する大企業へと成長していきました。

PDCAが失敗する理由

PDCAを回していれば必ず成果が出る、目標が達成できるというわけではありません。 「PDCAがうまくいかない」と悩む企業が多いことも現実です。

ここではPDCAがうまくいかない理由と、失敗しないためのポイントをお伝えします。

目標設定が曖昧または難易度が高い 1つ目はPDCAのP「計画」に原因があるケースです。

目標が明確でなければ、目標までの道のりは不透明となり達成することは難しくなります。

また、目標が高すぎて非現実的になるとモチベーションが維持できないので、計画を立てる際には下記の2点に注意してください。

・設定した目標は実現可能か
・仮説やプロセスに誤りはないか

さらに、目標は数値化するとより明確になります。

例えば、「広告のクリック率を上げる」よりも「広告のクリック率を前期より10%アップさせる」の方が、目標に対して何をするべきかが明確となり、計画がより具体的になります。

PDCAを回すことが目的になっている

あくまでもPDCAサイクルは成果を出すための“方法”であり、PDCAサイクル自体が目的になっていると、評価や改善がきちんとできず成果が出た理由や、失敗した原因が曖昧になってしまいます。

行動の振り返りをする習慣がない方や、企業が陥りやすい失敗例です。

また、PDCAをうまく回そうとするがゆえに、1つ1つのステップで時間をかけすぎると改善のチャンスを逃してしまう恐れがあります。

ビジネスを取り巻く環境は日々変化しているので、スピーディーに効率よく進めることがPDCAサイクルには求められます。

評価・改善をしっかり行っていない

計画を立てて行動を起こした結果、成果が出たとしても評価をしっかり行わなければ何が良かったのか分かりません。そのため、再び同じ成果を得ることや社内で成功例として共有することができず、同じことを繰り返してしまいます。

PDCAでは行動の記録や発生した課題などは、重要なデータになりますので途中経過は具体的に記録として残しておきましょう。

早く成果を出したい時ほど、気持ちが先走って「改善」に進みたくなりますが、「評価」のステップをしっかりと丁寧に行い、評価結果を分析しチーム内・社内で共有することが結果的には早く成果を出すことに繋がります。

WEBマーケティングにおけるPDCA

PDCAサイクルは、生産管理や品質管理などの管理業務だけではなく、WEBマーケティングの効率改善にも非常に効果的です。そのため、多くの企業で自社サイトの目標やKPI・KGIにしているコンバージョン率やセッション、UU、PVなどの各種指標を最大化するための改善に取り組まれています。

WEBマーケティングは、Googleアナリティクスなどの解析ツールを活用すると、ユーザーの行動データをリアルタイムで数値化することができ、現行の問題点や課題に気付きやすくなります。

得た数字をもとにPV数や直帰率、滞在時間など重要視するKPI(Key Performance Indicator)を設定すると、目標数値が明確になるため評価が曖昧にならずPDCAサイクルをうまく回すことができます。

さらに、KPIの中でも特に重視するデータKGI(Key Goal Indicator)を定義しておくことで、より正しい評価と的確な改善に繋がっていきます。

WEBマーケティングにおけるPDCAは、継続すればするほどデータが蓄積されていくので、具体的な目標も立てやすく成果を高めていくことが可能となります。

PDCAサイクルを活用したWEBマーケティング

SEO対策 自社ホームページを制作したものの、下記のような悩みを抱えている企業が多くあります。

・集客力が上がらない
・検索順位が上がらない
・自社ホームページからの問い合わせが増えない

検索結果で上位に表示させて訪問者を増やし、問い合わせや商品購入などのアクションを起こしてもらうための施策を広義にSEO対策といいます。

PDCAサイクルを回すことでSEO対策の効果を得ることができるので、ホームページにお悩みの担当者の方は参考にしてみてください。

Plan(計画):検索キーワードを決める
例えば「特定のキーワードで検索結果の上位に表示させる」という計画を立てます。

この時、キーワードを決める際にはキーワードが持っているポテンシャルを指し示す指標である検索ボリュームなどを事前リサーチして、根拠を持たせることが望ましいです。

そもそも、ユーザーがそのキーワードで検索をしなければ、上位に表示されるとしても訪問されることはありません。

Do(実行):サイトの最適化を行う
検索エンジンにおける上位表示とは、ユーザーにとって有益な情報を提供しているかということです。

Doのステップでは、Planで決めたキーワードをもとに、質の高いコンテンツを制作してユーザーの役に立つ情報を増やしていきます。

また、スマホ・タブレット対応やページスピードの向上など、ユーザビリティの向上も忘れずに行いましょう。

Check(評価):検索順位をはじめ、アクセス数やコンバージョン率などを確認する 検索順位は上がったが滞在時間が短いなど、様々な数字をもとに分析ができるので、結果とそれに対する原因を明確にして次のステップのActionに繋げていきます。

Action(改善):評価をもとに改善する
目標達成できなかった原因、他社サイトとの比較を分析して改善を実施していきます。

SEO対策は1回のサイクルではなく、何度もPDCAサイクルを繰り返してブラッシュアップしていくことで高い効果を得られるので、1サイクルで成果が出なくても諦めずに継続していきましょう。

LPのABテスト

ABテストとはオリジナルの情報(Aパターン)に対して、効果をアップするための仮説を元にBパターンを用意し、どちらのパターンが高いコンバージョン率を得られるかを検証する方法です。

WEBマーケティングではLPの他にも、広告バナーやWEBサイトで実施されることが多いです。

LPのABテストにおけるPDCAサイクルの例を紹介します。

「離脱率の高いLPを改善したい」という目標を立てた場合、まずは離脱率が高い原因を分析して仮説を立てる。(Plan)

仮説を元に改善したBパターンのLPを制作する。(Do)

AパターンとBパターンを同条件のもとで掲載する。(Check)

検証期間終了後にAパターンとBパターンの結果を比較して、当初立てた仮説が正しかったか分析をする。(Action)

改善が見られない場合は仮説が誤っていたことが考えられるため、新しい仮説を立てて再びPDCAサイクルを回していきます。

PDCAを効率よく回すための環境づくり

WEBマーケティングにおけるPDCAの効果を得るためには、環境を整えることから始めましょう。

情報共有の場はどれくらいありますか? 定例会議だけでは、サイクルが遅くなり得られるはずの効果も逃してしまいます。

WEBマーケティングは複数の部署が関わっていくので、他部署とのコミュニケーションの取り方の見直しや、進捗状況を確認できるツールの導入なども検討してみてください。

無駄な時間、無駄な作業を減らしていくこともPDCAサイクルをうまく回していくポイントです。

まとめ

PDCAの説明と効果的にPDCAサイクルを回すポイントをご紹介しました。 PDCAサイクルの仕組みが最適化されることで業務効率が上がり、企業の持続的な成長に繋がります。

現実的・具体的な目標を設定することがPDCAサイクルをうまく回すコツであり、成果を出すための第一歩です。

まずは小さなサイクルからでも構いません。 PDCAはすぐに効果が出るものではなく、継続的に行うことで成果が発揮されるので、根気よくスピーディーにPDCAサイクルを回すことを意識してみましょう。

提供元・MarkeTRUNK

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