2025年の大阪万博まで4年を切りました。日本国内で万博が開催されるのは1970年以来、55年ぶりです。
今回の万博では1970年開催時の8690億円を超える1.1兆円の経済波及効果が見込まれるなど、その開催に各界から熱視線が注がれています。
目次
大阪万博が2025年に開催
2025年、大阪・夢洲にて開催される大阪万博は、国際社会共通の目標「SDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)」をテーマの1つに掲げ、「アフターコロナ」の象徴としても非常に注目度の高い大規模イベントです。
大阪で2度目、関西で3度目の大規模万博
2025年の大阪万博は、1970年の「大阪万博」、2005年の「愛・地球博」に次いで、日本で開催される3回目の「国際博覧会」です。
大阪万博は2025年4月13日〜10月13日までの6カ月間開催が予定されています。
今回の開催地となる夢洲には2008年の五輪誘致が実現に至らなかった苦い経験もあり、今回の万博開催決定でようやく悲願が成就した形となりました。
2025年に夢洲で開催、テーマは「いのち輝く未来社会」
1970年の大阪万博は、「人類の進歩と調和」をテーマに183日間にわたって開催されました。77か国から6,421万人が来場しました。
今回の大阪万博2025では人(Human)に焦点を当て、「いのち輝く未来社会」と銘打ち、個々人がポテンシャルを存分に発揮できる場にしようという狙いが込められています。
「いのち輝く未来社会」というテーマには持続可能な開発目標(SDGs)の実現のみならず、+beyond (2030年より先の未来)への飛躍への期待が込められています。
特にフォーカスされるのは「Saving Lives(救う)」、「Empowering Lives(力を与える)」、「Connecting Lives(つなぐ)」の3つの“Lives”で、これらがサブテーマとなっています。
Lives(いのち)に注目するのは、AI(人工知能)を始めとするテクノロジーが急速に発達している今だからこそ人間の英知を大事にしたいという思いが込められているからでしょう。また、2020年8月には細胞(セル)をモチーフにしたいのちの輝きを表すロゴが完成しました。
会場は「未来社会」を表現
大阪臨海部の舞洲に設置される大阪万博2025の会場の収容予定人数は約2,800万人と公表されています。
個と個の関係や、多様性の中から生まれる調和と共創によって形成される未来社会を表現すべく、あえて中心を作らない自然界の幾何学パターン「ボロノイ・パターン」を会場設計に採用します。
会場内の5カ所には「空」(くう)と呼ばれる大広場を設置し、AR(拡張現実)·MR(複合現実)技術を活用した展示やイベントなどを行い、来場者の交流の場とします。実現すれば、「Society5.0」と銘打つ最先端テクノロジーの集積地として全世界から注目を浴びることは間違いありません。
また、会場は周囲を海に囲まれるオーシャンフロントです。南西側には淡路島、明石海峡大橋があり、背景に美しい景観を望むことができるでしょう。
誘致活動、大阪が選ばれるまで
2018年11月に開催されたBIE(博覧会国際事務局)総会の開催地決定投票において、ロシアのエカテリンブルグ、アゼルバイジャンのバクーを抑えて大阪が2025年の万国博覧会の開催国に選ばれました。過去二回も万博開催実績と今後のポテンシャルが大きく評価されたことが理由として挙げれます。
2017年から誘致活動開始、なぜ大阪が選ばれた?
万博の開催地を決定する選挙の際、大阪は、「SDGsへの貢献」、「参加国との共創(Co-creation)」を重要視していること等を強調し、世界を歓迎する準備ができていることをアピールしました。
加えて、他の立候補国であるロシアとアゼルバイジャンはこれまでに万博を開催したことがありません。しかし日本は1970年の大阪万博と2005年の愛・地球博と過去に二度、万博を開催運営した実績があります。
さらに、夢洲は国際成長戦略特区に指定されており、今後のアジア経済圏の中心的役割を果たしうるポテンシャルをBIE(博覧会国際事務局)に評価されたものと考えられます。
実際の出展予定は?期待される経済効果は1.1兆円とも
現在、25か国(日本を除くG7含む)と3国際機関の参加が決まっています。
経済産業省の試算によると、入場者数を3,000万人と想定した場合、主催者・出展者等による会場整備の建設費は約0.2兆円、主催者による会場管理費や出展企業の出展費用等の運営費は約0.2兆円と見られています。また、これらの全国への経済波及効果は、それぞれ約0.4兆円と、約2倍になる見込みです。
さらに、来場者等による交通・宿泊・飲食・買い物・サービス等への消費支出は約0.7兆円で、その全国への経済波及効果は約1.1兆円と試算されています。
出展パビリオンは未定、1970年を超える参加を目指す
出展パビリオンは現段階では確定していません。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、150の国及び25の国際機関の参加を公式参加数として目指すとしています。
そのほか、企業や市民団体などからも出展を募る予定です。1970年の万博では合計で116の展示館が並びました。今回はそれを超える出店数を目指しています。
見込み経済効果は1.1兆円
2025年の大阪万博では、建設費約0.4兆円運営費約0.5兆円消費支出約1.1兆円の経済波及効果が見込まれています。
前回の日本開催の万博「愛・地球博」では総計8,690億円という実績値だったことからも、2025年の大阪万博の規模の大きさを伺い知ることができます。
2025年の大阪万博に合わせて大阪メトロ中央線の延伸計画も上がっており、これが実現すれば長期的な経済効果を生む「レガシー」となることが期待されています。
「持続可能性」を掲げた大阪万博
1970年の万博は、その消費問題が深刻でした。消費電力は1日平均90万キロワット、排出したゴミはなんと合計40万立方メートルに及んだとされています。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)基本計画のなかで「SDGs(持続可能な開発目標)」を大阪万博の目標の一つに掲げており、環境面や社会への配慮を重要視しています。
基本計画の5点目にも「快適、安全安心、持続可能性に取り組む万博」を掲げていること、開催目的でも「国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)が達成される社会」「日本の国家戦略Society5.0※の実現」などを示していることからも「持続可能性」を意識していることがうかがえます。
期待が高まる2025年の大阪万博
2005年の愛・地球博の総入場者数は2,205万人でした。2025年の大阪万博の総入場者数はそれを超える3,000万人にも上ると見込まれています。
出展各業・団体は、自らのビジネスを国内外の大勢の人々に知ってもらう絶好の機会となり、関西の地場産業・地域経済の活性化が期待されています。
大阪万博が開催されるのは、大阪・舞洲という今後のアジア経済圏の中心的存在になりうる場所です。
コロナ禍の影響を受け、会場建設や鉄道延線計画も当初案から変更・修正を強いられながらも、着々と準備が進んでいます。大阪万博を皮切りに日本各地を訪れる人々が増え、経済に与える好影響が関西のみならず日本全体に広がっていくことが有望視されています。
文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ
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