「ゆるキャラ」と呼ばれる、愛らしい姿が特徴的な日本各地のご当地キャラたち。
近年は「ゆるい」の解釈が広義になったためか、時に「ゆるくないゆるキャラ」とも形容される奇抜なキャラを採用し、結果「町おこし」に成功している自治体も存在しています。そんな中、兵庫の地にて、ある個性的なご当地キャラが爆誕しました。
兵庫県加西市。兵庫の中でも中央部に位置し、山田錦の栽培や兵庫フラワーセンターなど、何かと「植物」に縁のある街です。
ちなみにこの加西、隣接する自治体のひとつが神崎郡福崎町。そして福崎といえば、冒頭の「ゆるくないゆるキャラ」として全国的にも知られている「妖怪・ガジロウ」を擁することでも有名です。
そんなガジロウの生みの親といえば、「公務員らしからぬ公務員」こと、福崎町地域振興課所属の小川知男さん。奇想天外な発想力と周囲を巻き込む行動力で「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」にて、「すごい!地方公務員」の1人にノミネートされたスーパー公務員。
「隣町とはいえ、なぜ唐突に小川さんをヨイショしているんだ?」と思った方も多いかもしれません。実は今回の取材は、そんな小川さんからの紹介。今回ここ加西の地で爆誕したご当地キャラにも関わっているそうです。
「今度は一体何を企んでいるんだ……?」失礼ながら、少々身構えながら、筆者は今回の待ち合わせ場所である商業施設「アスティア加西」に向かうことに。
そのまま3階にある地域交流センター「ねひめホール」へ直行。加西自体は幾度か訪れる機会のある筆者ですが、今回のアスティア加西は十数年ぶりの来訪でした。
施設内でキョロキョロしていると、どこからともなくやってきたのが、今回取材をする阿部裕彦さん(以下、阿部さん)。
加西市役所職員の傍ら、市を含めた北播磨地区の地域活性化を目指す「北播磨ブランド化委員会」の一員としても活動されているそうです。それにしても、名刺の裏面にはなぜアフロが描かれてるんだろうか?
と、名刺交換も程々に、健美の待ち構えるホールへと向かう筆者。ちなみにホールの座席は、感染症対策の一環で一席あけて使うソーシャルディスタンス仕様になっていました。
さて今回の「待ち人」とついにご対面。ホールに入ると舞台を背にして立たされます。もーう。ドキドキするー!そして3・2・1……バッ!と振り返ると……。ぽかーん。
長髪をなびかせた「健美(ケミィ)」が筆者をお出迎え。クリっとした瞳に、紫の唇、花びらのようなとさか、弾力さを感じさせる大腿に少々長めの爪先と、これ以上ないくらいに目をひく容姿。圧がすごい……!
まさに一度見たら、脳裏に焼き付く強烈……ゲホゲホ、魅力的なご当地キャラです。なお、健美は女性キャラとのことで、恥じらう姿もまたチャーミング(震え声)。
その後は一瞬にして撮影会場に変貌したホール内。様々な角度のポージングをしてもらい、「いいよ~とってもいいよ~」と口にしてしまいそうな撮影タイム。そうこう過ごすうちに筆者の感情も最初のものとは変わってきます。あれ、かわいいかも……!「健美ちゃん、視線ちょうだーい」。ノリノリになってきました。
一通り撮影が終わった後は、「発案者」の阿部さんへのインタビューを実施。筆者の眼前にその全貌を現した健美について、阿部さん自身の活動詳細も交えつつ、うかがいました。
■ 福崎町から出向中
―― 本日はありがとうございます。それにしても実物を見るとすごいインパクト。容姿も「ガジロウ」を彷彿とさせます。
阿部さん「ありがとうございます。『健美』もガジロウと同じ方(特殊造形師・河津一守氏)にデザインしてもらったんです。ちなみにガジロウ担当者の小川さんは、私の中学高校時代の同級生なんですよ」
―― なんと!色々と合点が行きました(笑)ガジロウと同じデザインということは、健美も「妖怪」になるんでしょうか?
阿部さん「いや、健美は『サラセニア』という食虫植物をモチーフにしているんです」
―― 確かに後ろ姿は植物感が強かったです。となると、「花の精」とでも言ったところでしょうか。加西ですし、「生誕の地」はフラワーセンター(註:加西にある植物園)に?
阿部さん「いや、誕生の地はガジロウと同じ辻川山公園です。池から突如現れました(笑)」
―― 失礼いたしました。それにしてもなぜ「福崎出身者」が加西へ?
阿部さん「加西へは『出向』という形で配属されています。ちなみに3月に誕生したので、今はまだ『研修期間中』ですね」
―― なるほど。人間界的にいうと、健美は「新入社員」ですね。
阿部さん「そうです。まだ色々覚えている最中です」