「三井住友NLカード」はセキュリティに配慮してカード券面からカード番号とセキュリティコードをなくした画期的なクレジットカードだ。年会費無料の特徴も持つこのカードのメリットとデメリットを紹介しよう。
目次
1,カードの基本スペックと審査基準――三井住友カード初の完全ナンバーレス
2021年2月1日に発行、開始された「三井住友NLカード」。NLとはナンバーレスの略称であり、正式名を「三井住友カード(NL)」という。これは、その名の通り券面にカード番号などがまったく印字されていないカードであり、三井住友カードでは初めての完全ナンバーレスカードとなっている。
まずは、このカードの基本スペックから見ていこう。
三井住友NLカードの基本スペック……年会費、付帯保険、電子マネーなど
国際ブランド | Visa MasterCard |
年会費 | 無料 家族カード無料 |
ポイントサービス | Vポイント |
通常ポイント還元率 | 0.5% |
ポイント交換対象 | 店頭・ネットショッピングの決済 キャッシュバック 他社ポイントなど |
空港ラウンジサービス | − |
付帯保険 | 海外旅行傷害保険(利用付帯) |
追加カード | 家族カード ETCカード バーチャルカード |
電子マネー | 【別途カード発行必要】 iD WAON PiTaPa 【Apple Pay/Google Pay経由】 iD |
審査基準・審査難易度……年収100万円以上が目安
申し込み対象として「満18歳以上の方(高校生は除く)」となっており、収入について特に記載がないことから、アルバイト・パートでも、あるいは世帯収入があれば学生や専業主婦でもカードを作れるものと思われる。
新しいカードなので審査に関する口コミ情報が少なく判断は難しいが、三井住友カード発行の他のカードで推測されている審査基準から考えて、年収100万円以上で審査通過の可能性がある。審査のハードルはかなり低いといっていいだろう。
三井住友カードとの違い……ポイントがより貯まりやすい
これまで三井住友カード発行の一般カードといえば「三井住友カード」だった。実はこのカードでもカードのおもて面は現在ナンバーレスとなっているが、裏面にはカード番号の記載がある。
「三井住友NLカード」と「三井住友カード」の違いを紹介しよう。
三井住友NLカード | 三井住友カード | |
税込年会費 | 無料 家族カード無料 |
1,375円 家族カード440円 ※1人目は初年度無料 |
申し込み資格 | 満18歳以上の方(高校生は除く) | |
利用可能枠 | 総利用枠:〜100万円 ショッピング利用枠:〜100万円 |
総利用枠:10万〜80万円 ショッピング利用枠:10万〜80万円 |
ポイント還元率 | 通常0.5% | |
コンビニなどでの ポイントアップ |
最高5%還元 | 最高2.5%還元 |
三井住友カード 共通付帯サービス |
○ | |
旅行傷害保険 | 海外最高2,000万円(利用付帯) | |
お買物安心保険 | − | 年間100万円限度 ※海外利用および国内でのリボ払い ・3回以上の分割払いの利用分のみ対象 |
「三井住友カード」は年会費が有料になる代わりに、お買物安心保険(ショッピング保険)が付帯する。また、三井住友カード発行のカードではコンビニエンスストアなどの一部店舗でポイントアップ適用により最高2.5%還元となるが、「三井住友NLカード」ではさらに還元率がアップし最高5%還元となる。
年会費コストをかけることなくポイントをより効率よく獲得しやすいことが、「三井住友NLカード」の特徴といっていいだろう。
2,ポイントサービス、還元率――使い方によっては高還元も可能
このカードのメリットの一つであるポイントサービスの内容を紹介しよう。
貯まるポイントと還元率……通常0.5%還元
貯まるポイントは「Vポイント」で、クレジット支払い200円(税込)ごとに1ポイント(1円相当)が貯まる。ポイント還元率は0.5%。有効期限はポイント獲得月から2年間。
貯まるポイント | Vポイント |
ポイントの貯まり方 | 200円(税込)ごとに1ポイント |
通常還元率 | 0.5% |
有効期限 | 2年間 |
ポイントの交換対象……店頭で使えるなど他社ポイントにも交換可能
ポイントはスマホアプリ「Vポイント」により、1ポイント→1円としてネットショッピングの他、VISAのタッチ決済対応加盟店、電子マネー「iD」加盟店での支払いに利用できる。
その他、1ポイント→1円としてVISAプリペイドなどプリペイドカードへのチャージやカード利用代金の支払いへの充当(キャッシュバック)、景品やオンラインギフト券、他社ポイント・マイルへの交換も可能だ。主な交換対象と交換レートは次の通り。
交換対象 | 交換レート | |
必要ポイント | 交換対象単位 | |
Amazonギフト券 | 1P | 1円分 |
Google Play ギフトコード |
||
App Store & iTunes ギフトコード |
||
自治体ポイント | ||
ANAマイル | 0.6マイル | |
楽天ポイント | 0.7P | |
WALLETポイント | 1P | |
dポイント | ||
Tポイント | 0.8P | |
Pontaポイント | ||
nanacoポイント |
店頭でも利用可能な他、他社ポイントやオンラインギフト券にも交換できるので、ポイントの使い方に悩むことはないだろう。
ポイントアップの方法……セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドで5%還元
「三井住友NLカード」では、三井住友カードが発行する他のカードにはないポイントアップの仕組みが提供される。ただし、他のカードに適用される月間利用金額に応じたボーナスポイントは適用されない。
ここではこのカードで可能なポイントアップ手段を紹介しよう。
・方法1,主要コンビニ2社とマクドナルドで最大5%還元
セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドでカード決済(Apple Pay・Google Pay・iD決済を含む)するとポイント5倍、2.5%還元となる。さらに、クレジットカードの非接触決済(VISAのタッチ決済/MasterCardコンタクトレス)を利用した場合、2.5%分が加算され合計で5%還元となる。
これは他社クレジットカードと比較してもまれな超・超高還元率といえ、対象店舗の利用の多い人には大きなメリットといえる。
・方法2,選んだ3つの店舗で1%還元
対象店舗の中からよく利用する店舗を3つ選んで登録すると、通常ポイントに加えて0.5%分のポイントが加算。合計で1%還元となる。対象店舗のごく一部を次に抜粋した。対象店舗には多くのスーパーチェーンが含まれている。
デイリーヤマザキ | セイコーマート | ポプラ | ライフ |
西友 | アピタ | ピアゴ | 京王ストア |
京急ストア | A-プライス | マツモトキヨシ | ココカラファイン |
トモズ | スターバックス (カードオンラインチャージ) |
すき家 | ドトールコーヒー・ エクセルシオールカフェ |
モスバーガー | プロント | ファーストキッチン | モリバコーヒー |
・方法3,ポイントサイト「ポイントUPモール」経由のネットショッピング
ネットショッピングのときに、ポイントサイト「ポイントUPモール」を経由すると、通常ポイントの他、ショップごとに設定されたポイントが付与される。登録ショップは、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、じゃらん、紀伊國屋書店など代表的なものも含め多数。ネットショッピングの際に経由を忘れなければ、効率よくポイントを貯められる。
・方法4,「ココイコ!」+街なか店舗でショッピング
「ココイコ!」というサービスでは、事前エントリーして街なかの対象店舗でショッピングすると、ポイントアップやキャッシュバックを受けられる。対象店舗は、AOKI、コナカ、洋服の青山、小田急百貨店、近鉄百貨店、京王百貨店、タカシマヤ、東急百貨店、東武百貨店、紀伊國屋書店、リーガロイヤルホテルなど多数。
・方法5,「マイ・ペイすリボ」の登録&利用で1%還元に
自動リボ払いサービス「マイ・ペイすリボ」の登録により、リボ払い手数料の請求がある月のカード利用代金の0.5%分のポイントが加算され、合計で1%還元となる。ただし、支払うリボ手数料を考慮すると、ポイントアップのためにリボ払いを選択するメリットはない。
以上、通常のポイント還元率は0.5%と高いとはいえないが、これらのポイントアップ手段で高還元率とされる1%へ近づいていく。特にセブン-イレブン、ローソン、マクドナルドの利用の多い人にはお得なカードとなるだろう。
3,三井住友NLカードの3つのメリット――完全ナンバーレス、三井住友カードのサービス、海外旅行傷害保険
次に、このカードを特徴づけている3つのメリットを順に紹介しよう。
メリット1,完全ナンバーレスカードでセキュリティ面が安心
「三井住友NLカード」はその名の示す通り券面にはカード番号の他、セキュリティコードの印字もない。
おもて面にはカード情報の印字はまったくなく、裏面にはカード会員の名前のローマ字表記と発行日のみが印字。そこで、万が一、盗み見されてもカード番号やセキュリティコードは分からず、不正利用につながることはない。
ネットショッピング時などカード番号が必要なときはスマホの「VPassアプリ」で確認し、コピー&ペーストにより決済画面へ簡単に入力できる。もちろん、カードの利用履歴もアプリ上で素早く確認可能だ。
すでに「三井住友カード」を持っている会員も、それを持ったまま追加で「三井住友NLカード」を持てるため、一方がVISAブランドでもう一方がMasterCardブランドの形での発行も可能。また、今持っているカードを止めて切り替えられ、その場合、前のカードで獲得したポイントは新しいカードに引き継がれる。
街なかの店舗でカードを使うことにセキュリティ面の不安を感じていた人には、最善のチョイスとなるだろう。「三井住友カード」からの切り替えや追加発行について、便宜が図られている点も評価できる。
メリット2,三井住友カードの充実したサービス・優待で旅行やレジャーがお得に
主にトラベル関連で、三井住友カードが提供するサービスや優待が利用可能だ。その内容は次の通り。
優待名称 | 優待内容 |
VJデスク | 世界主要都市に設置されている「VJデスク」では、 日本語で現地観光情報の提供、 レストラン・チケット予約、緊急時サポートなどの バックアップを受けられる |
VJトラベルデスク | 国内外のパッケージツアーが最大5%オフ |
宿泊予約サービス 「Hotels.com」優待 |
セール価格からさらに8%オフ。 もしくは4%オフ+「Hotels.com」のリワード (10泊につき1泊が無料になる)が付与 |
航空券・ホテル予約サービス 「Expedia(エクスペディア)」優待 |
ホテル料金が掲載価格から8%オフ。 航空券+ホテルの5万円以上の予約時に2,500円引き |
海外レンタカー優待 | ハーツレンタカー10%オフ、 バジェットレンタカー最大15%オフ |
空港宅配サービス | 通常料金より15%オフ (対象空港:成田国際空港・羽田国際空港・ 関西国際空港・中部国際空港) |
手荷物預かりサービス・ コート預かりサービス |
通常料金より15%オフ (対象空港:成田国際空港・羽田国際空港・ 関西国際空港・中部国際空港) |
レンタルモバイルサービス | 海外用携帯のレンタル料50%オフ、通話料15%オフ。 Wi-Fiルーターの通信料27%〜40%オフ (対象空港:成田国際空港・羽田国際空港・ 関西国際空港・中部国際空港) |
スーツケースレンタルサービス | 通常料金より15%オフ |
Vpassチケット | 演劇・コンサートなどのチケットを案内。 先行販売、優待割引公演も提供 |
以上のように、上手に活用できれば旅行がお得になるサービスがそろっている。年会費無料カードのサービスと考えれば、非常に充実した内容といっていいだろう。
メリット3,最高2,000万円の海外旅行傷害保険が利用付帯
旅行代金をカード払いすることで最高2,000万円補償の海外旅行傷害保険が付帯する。補償内容は次の通り。
海外旅行傷害保険(利用付帯)
保険項目 | 補償金額 |
傷害死亡・後遺障害 | 最高2,000万円 |
傷害治療費用(1事故の限度額) | 50万円 |
疾病治療費用(1疾病の限度額) | 50万円 |
賠償責任(1事故の限度額) | 2,000万円 |
携行品損害 [自己負担:1事故3,000円] (1旅行中かつ1年間の限度額) |
15万円 |
救援者費用(1年間の限度額) | 100万円 |
「三井住友カード」に付帯するお買い物安心保険(ショッピング保険)こそないものの、旅行傷害保険は同内容であり、年会費無料と考えると十分な補償といっていいだろう。
ただし、傷害・疾病治療費用は十分な金額とはいえないので、必要に応じて海外旅行傷害保険が自動付帯(旅行代金のカード払いの有無にかかわらず付帯)となるクレジットカードや、別途加入した保険と併用した方がよさそうだ。
4,三井住友NLカードの2つのデメリット――ポイント還元率、電子マネーチャージ
他社の年会費無料カードと比較したときに「三井住友NLカード」のデメリットといえるのが、次の2点となる。
デメリット1,通常のポイント還元率が高くない
コンビニエンスストアやマクドナルドでは超・超還元率となる一方、通常のカード利用では0.5%還元となり、これは高いとはいえない。そのため、少しでも多くのポイントを獲得したければ、普段は1%還元のカードなどを使い、高還元となる店舗ではこのカードを使う使い分けが必要となる。
デメリット2,電子マネーチャージのポイント付与がない
各種電子マネー(楽天Edy・Suica・PASMO・SMART ICOCA・WAON・nanaco)へのクレジットチャージにはポイントが付与されないため、それらの電子マネーをよく利用する人はどうしてもポイントが貯まりにくい。
5,三井住友NLカードがおすすめなのはどんな人?セキュリティが気になるなら
完全ナンバーレスの点で、セキュリティ意識の高い人には特におすすめできるカードといえる。とはいえ、その意識があってもなくても、いずれにせよセキュリティは重要なので、街なかの店舗でカードを使う人全てに推奨できるカードといっていいだろう。
特に「三井住友カード」をすでに利用している人は使い勝手が近く、導入も容易なので、切り替えや追加を検討してみてはどうだろうか。

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