●スマホ的なまでの戦略的値引きと性能向上
突如、普通ではあり得ない価格破壊を敢行した自動車メーカーがある。現代自動車界の風雲児、EV専業の北米テスラだ。
振り返ると2月半ば、私の個人アドレスに「Tesla Model 3価格変更のご案内」というメールが来て、中身をみてビックリ。ベーシックな後輪駆動のスタンダードレンジプラスが511万円から429万円に82万円の値下げ。デュアルモーターAWDのロングレンジが655万円から499万円に約156万円の爆下げ。唯一同AWDのパフォーマンスのみ717万強で据え置き。
かつてガソリン車でも100万円引きしてきたブランドはあったが、500万円台のクルマでは珍しく、同時にモデル3はバッテリーEVで最も重要な性能、航続距離も伸ばしているから恐ろしい。
以前はスタンダードが409km、ロングレンジが560km、パフォーマンスが530kmだったがそれぞれ448km(+39km)、580km(+20km)、567km(+37km)に伸びている。
これは電池が変わったせいとも思えたが、テスラに確認すると「主にエアコンがヒートポンプ式に変わったから」という。この高効率エアコンでバッテリーの熱管理も行っているので、より最適化が進んでいる可能性もある。
だが、周知ではもっぱらモデル3日本仕様の生産拠点が北米から中国の上海ギガファクトリー移行したからといわれている。
上海だけに当然人件費、輸送コストが抑えられ、それ以上に現地最大手電池メーカーのCATLや韓国LG化学から電池を調達したため原価が安くなったというのだ。
しかし正式に広報に尋ねても「わかりません」という。だが、そうとも考えない限り爆下げの理由が説明できない。