4月14日、アメリカの連邦準備理事会(以下:FRB)は、地区連銀経済報告(以下:ベージュブック)を公表しました。報告では、2月下旬から4月にかけ、アメリカ国内の経済回復が「緩やか(moderate)なペース」へ加速したとの認識が示されました。

目次

  1. アメリカの経済回復ペースが加速、今後の焦点は賃金か
    1. 国内の経済回復ペース加速の背景は?労働市場の改善、旅行需要の伸びなど
    2. 雇用創出の拡大、注目される「賃金の引上げ」

アメリカの経済回復ペースが加速、今後の焦点は賃金か

FRBは、14日に公表したベージュブックで、春にかけて景気回復が加速したとの認識を示しました。消費者信頼感の改善が背景にあるとしています。ジェローム・パウエルFRB議長は、インタビューで、成長と雇用がさらに拡大する見通しだと述べました。

また、議長は、アメリカ経済は「転換点」にあるとの見解を示しています。今後数か月は、ワクチンの普及や大規模な財政刺激策を原因に、景気や雇用の拡大ペースが加速していく可能性があるとのことです。

国内の経済回復ペース加速の背景は?労働市場の改善、旅行需要の伸びなど

ベージュブックは、2021年2月下旬から4月にかけて、国内経済のペースが加速したとしました。新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンが普及したことや、政府の財政支援などが追い風となったとされています。

再び仕事に就く人が増える中で、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)によって大きな打撃を受けた労働市場も改善されたとのことです。製造業、建設業、娯楽・接客業などにおいて、雇用の伸びが最も加速しました。

ベージュブックでは、「娯楽や旅行の需要の伸びが加速し、観光に関する報告も前向きだった。調査先は需要増加の要因として春休みやコロナに伴う封鎖措置の緩和、ワクチン接種の進展、最近の給付金などを挙げた」と指摘されています。前回3月の報告以降、見通しの楽観度合いが全般的に強まったとしました。

成長のペースについては、多くの地区が緩やかだったとしていますが、ニューヨーク地区は力強いペースだったと指摘しています。同地区の経済は「パンデミックの期間で初めて力強いペースで伸び、広範な産業が拡大した」とされています。

新型コロナウイルス感染症への感染が増えたにもかかわらず景気が改善したことについて、「調査先は短期的な見通しについてますます楽観的になっている」としました。

雇用創出の拡大、注目される「賃金の引上げ」

14日のワシントン経済クラブのインタビューにおいて、同氏は、「成長が加速し雇用創出も拡大する局面に入る見通しだ」と述べました。一方で、変異ウイルスによる感染の再拡大というリスクが残っているとも指摘しています。

実際に、アメリカの労働省が2日に発表した雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比91万6,000人増との結果が示されました。これは、7カ月ぶりの大幅な伸びとなる数字です。また、労働省が13日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)も大幅な伸びがあり、8年半ぶりの結果となっています。

そんな中、多くの地区連銀の調査先がコストへの圧迫が強まっていると指摘しています。これについては、サプライチェーン(供給網)のボトルネックが主な要因として挙げられました。

しかし、パウエル議長やその他のFRB当局者は、明るい経済見通しや一時的な物価上昇の加速が金融政策に影響することはないと述べました。そして、パンデミックの危機が終わるまでの間は、変わらず緩和的な金融政策を維持すると強調しています。

ベージュブックでは、経済再開に伴って各社の戦略も浮き彫りになりました。クリーブランド地区の人材紹介企業によると、就職希望者の最優先事項が「給与」となったとのことです。「給与」が「職種」を超えるのは、これまでで初めてだと報告されています。

ミネアポリス地区では雇用主が賃上げを保留しているのではないかという可能性が示唆されました。ワクチン接種を終えた後、就職を希望する人が急激に増えるだろうと見越しているという予想です。同連銀は、「多くの労働者が戻ってくる可能性がある中で、今賃上げする必要はあるだろうか」と指摘しています。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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