近年、中国人富裕層による、日本に渡った中国の骨董品を「買い戻し」する動きが活発化しています。訪日中国人の爆買いのターゲットが、電化製品から工芸品に移りつつあるのかもしれません。

今回は、骨董品の買い戻しをする訪日中国人の動向と日本の伝統工芸品へのニーズについて解説します。

目次
中国人富裕層による日本にある骨董品の買い戻しがトレンドに

「中国骨董品狙いの中国人」がターゲット、オークション会社
日本の伝統工芸品へのニーズ、重慶に直営店
日本に眠る中国美術品が新たな爆買いブームを起こす

中国人富裕層による日本にある骨董品の買い戻しがトレンドに

中国人富裕層による爆買いのトレンドに、現在日本にある中国の骨董品の買い戻しが見受けられるようになりました。2019年秋に開催された東京都文京区にある本郷美術骨董館でのオークションには、約400人の中国人が参加していたとのことです。

8時間のオークションで、中国の骨董品2,000点が競り落とされ、落札総額は4億円に上りました。中国の質の良い骨董品を安く手に入れたい中国人の業者やコレクターが増加したため、10年ほど前から年2回オークションを開催しています。

投資や研究目的の「買い戻し」

また、美術品だけでなく中国の古書籍にも人気は拡大し、良い品を安く購入するために訪日する研究目的の学者や、インテリアとして購入していく中国人観光客もいます。

近年では、日本にある中国の骨董品の質の高さや希少性が評価され、中国の経済成長による富裕層の増加から、投資目的で買い戻しをするケースが見受けられるようになりました。

「買い戻し」の背景にある中国文化の悲劇

日本で中国人による中国の骨董品買い戻しがトレンドとなった背景は、半世紀前の毛沢東の時代に中国で起きた「文化大革命」にあります。

中国の長い歴史の中で培われてきた伝統や芸術、文化が一気に否定されたことから骨董品の価値も下がり、当時そこに目を付けた日本人が中国の骨董品を「爆買い」したのと、中国人が骨董品の破壊を防ぎ保存するために、日本に送ったという経緯があるようです。

こういった歴史を経て、自国の骨董品を買い戻す「回流」の需要が高まっているのが現在のトレンドです。日本にある中国の骨董品の信頼性や状態の良さなどが評価され、爆買いの新たなターゲットとなりつつあります。

「中国骨董品狙いの中国人」がターゲット、オークション会社

オークション会社は日本国内にも数社あり、それぞれが独自の強みを持って運営しています。絵画・骨董・ジュエリーなど幅広いジャンルを取り扱い、日本の近代作家が強い会社や、現代美術が強い会社などの特色があります。

中国美術専門のオークション会社は運営も中国人が行なっているケースが多く、また、オークション会社の設立自体が、日本国内にある自国の骨董品を収集するのが目的です。

日本国内にはまだまだ良質なものが多く残っているといわれているため、絵画・美術品の専門業者の需要が高まっているといえます。

日本の伝統工芸品へのニーズ、重慶に直営店

2019年11月8日に、日本の伝統工芸品を販売するアンテナショップ「青山SQUARE」が中国の重慶市にオープンしました。

日本の財団法人である伝統工芸品産業振興協会が運営しており、経済産業省指定の日本各地の伝統工芸品を約200種類取り扱っています。

もともと本店は東京都青山にあり、青山店の来場客の約3割が外国人だったことから、インバウンドが日本の伝統工芸品を購入するニーズは高いと捉え、パリ店に続いての海外出店となりました。重慶市は古くから伝統織物や刺繍、扇子の生産が盛んな都市で工芸品が暮らしの中に根付いていることから、新規オープンの地として選ばれました。

中国では「人は美術館に来るとかっこよく見える」といったイメージが高まっており、実際にこのようなトピックのWeChat記事が6万超も読まれています。芸術への親しみや暮らしの中に骨董品や工芸品、アート作品を取り入れることが、ひとつのステータスシンボルのように受け入れられていると考えられます。

日本に眠る中国美術品が新たな爆買いブームを起こす

日本にある中国の骨董品は、化粧品や家電だけにとどまらない訪日中国人の爆買いニーズを生み出す可能性があります。日本でのオークションに参加する訪日中国人も増加していることから、今後の爆買いの動向にも注目すべきでしょう。

中国人にとってアートに関心を示すことをステータスとする傾向も見えるため、アートをきっかけとした訪日中国人向けのツアーや地方誘客のプロモーションも効果的かもしれません。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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