最近、NASAのジェット推進研究所に所属するKasthuri Venkateswaran氏ら研究チームは、国際宇宙ステーション(略称:ISS)で見つかった新しい細菌とその可能性について報告しました。

過酷な環境であるISSで見つかった4種が将来、火星で植物を育てるのに役立つかもしれないのです。

研究の詳細は、3月15日付の科学誌『Frontiers in Microbiology』に掲載されました。

目次
国際宇宙ステーションで見つかった新種の細菌
国際宇宙ステーションで見つかった細菌が火星での植物栽培の道を開くかも!?

国際宇宙ステーションで見つかった新種の細菌

国際宇宙ステーションで「新しい細菌」が見つかる! 火星で植物を育てるのに役立つ可能性あり
(画像=Methylobacterium科に属する細菌 / Credit:Commons / Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

研究チームの報告によると、これまでISSのさまざまな場所に生息する4つの細菌株が発見されてきたとのこと。

4つの細菌株のうち3つは2015年と2016年に発見されており、1つ目は研究ステーションのヘッドパネルで、2つ目は観測用モジュールで、3つ目はダイニングテーブルの表面で見つかりました。

しかもこの3種はこれまでに発見されたことのない新種であり、「Methylobacterium ajmalii」と名付けられました。

また4つ目の細菌株は2011年に地球へ返還された古いエアフィルターから見つかっています。

これはMethylorubrum rhodesianumと呼ばれる既知の種だと同定されました。

ちなみに、発見された4つの細菌が属するMethylobacterium科は土壌や淡水に生息しているもので、窒素固定、植物成長への関与、植物病原菌の阻止という役割を担います。

つまり、ISSから植物を育てるのに役立つ細菌が見つかったのです。

これは、ISSで生活する宇宙飛行士たちが何年もの間、少量の植物を育ててきたことが関係しています。

国際宇宙ステーションで見つかった細菌が火星での植物栽培の道を開くかも!?

国際宇宙ステーションで「新しい細菌」が見つかる! 火星で植物を育てるのに役立つ可能性あり
(画像=新種の細菌は火星での植物栽培に役立つ可能性がある / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

ISSで植物関連の細菌が見つかったことは、将来の宇宙探査において大きな意味を持ちます。

そもそもISS自体が植物にとって過酷な環境です。

Venkateswaran氏も「資源が最小限かつ極端な場所で植物を育てるには、ストレスの多い条件下でも植物の成長を促進させる微生物が必要です」と述べています。

そのためISSで生息できる植物細菌たちが見つかったということは、宇宙のような過酷な環境でも植物を育てるためのカギが見つかったようなものです。

そこで研究チームは、4つの細菌株を遺伝子分析にかけ、植物の成長を促進する遺伝子を探しています。

現段階では、1つの細菌株が、根や芽の細胞分裂を促進するサイトカイニンに不可欠な酵素の遺伝子や、その他植物の成長に関与する有望な遺伝子を持っていると分かっています。

また報告によると、過去6年にわたってISSの8つの場所で細菌を増殖させる取り組みが行われてきました。

さらにISSのさまざまな場所から新たに約1000のサンプルが収集されたとのこと。これらは地球へ帰還したのち分析されます。

今後もISSに生息する細菌の分析は続けられます。新しい発見と分析が将来的に火星での植物成長を助けるかもしれません。


参考文献

Microbes Unknown to Science Discovered on The International Space Station

元論文

Methylobacterium ajmalii sp. nov., Isolated From the International Space Station


提供元・ナゾロジー

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