8月3日(日)、再び空港を訪れると、飛行機がまたしても消失していたのです。
ホンさんは「バッテリーを抜いておいたのに、なぜまた動かせたのか」と困惑するしかありませんでした。
再度警察に通報すると、今度はサンガブリエルバレー空港(San Gabriel Valley Airport、エルモンテ市)で発見されたとの知らせが入りました。
このとき、コックピットには“新品のバッテリー”が装着され、ヘッドセットまで追加されていました。
ホンさんは自身の機体の飛行履歴を調べるため、航空機追跡サイト「FlightAware」を利用しました。
すると、7月中、ホンさんの飛行機は、何者かによって何度か飛行を繰り返していたことが明らかになりました。
そして翌日、ホンさんが空港で飛行機の消失に初めて気付いた、という流れです。
この出来事は、「盗まれて→無断で複数回飛ばされ→新品のバッテリーやヘッドセットが追加され、空港に放置する」という珍事件だったのです。
犯人は“なぜ修理してまで”飛びたかったのか?犯人は中年女性!?
この事件の最大の特徴は、犯人が単に盗んで使うだけでなく、機体の部品を自腹で購入・交換し、メンテナンスしてから空港に返却している点です。
例えば、新品のバッテリーやヘッドセットは、パイロット自身が使うためのものであり、決して安価ではありません。
一般的な泥棒が金目のものを持ち去るどころか、むしろ”追加する”という異例の行動が、事件をより不可解にしています。
さらに、飛行機の操縦や整備には高度な技術が必要です。
FlightAwareの記録からも、離着陸を何度も安全にこなしていることが分かっており、犯人は明らかに飛行機の運転技術や航空知識、部品の調達能力を持つ人物です。
また、盗難防止策として外されていたバッテリーを、犯人が自ら新品に交換して再び飛行させたことから、機械的な知識や工具も持っていることがうかがえます。