実験によると、「直近にシャワーを浴び、その後に日焼け止めを前腕に塗った人」は、そうでない人よりも蚊に狙われる回数が約半分にまで減りました。
なぜ日焼け止めが効くのかという理由は、まだはっきりとは分かっていませんが、日焼け止めが肌のにおいを隠してしまったり、蚊の嫌う成分を含んでいたりする可能性があります。
では以前からよく言われてきた、血液型や食生活などの要因はどうだったのでしょうか?
蚊に刺されやすいかは血液型や食生活によるのか?

昔から蚊に刺されやすいと言われてきた要因は正しいのか?
研究ではその点についても調べられました。
例えば「O型の血液型は蚊に刺されやすい」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。
しかし、この実験では参加者の血液型と蚊の寄りやすさとの間にはっきりした関係は見つかりませんでした。
また、食生活についても調べましたが、ベジタリアン(野菜中心の食生活の人)やヴィーガン(動物性食品をまったく食べない人)と、普通の食事をする人との間に、蚊の好みに明らかな違いはありませんでした。
同じく、男女の性別の違いも蚊の好みに影響を与えないことが分かりました。
こうした結果は、今までの「蚊に刺されやすい人は血液型や体質によるもの」という一般的なイメージとは異なっているため、非常に興味深いものです。
さらに研究者たちは、もう一歩踏み込んで、参加者たちの肌にいる微生物(皮膚マイクロバイオーム)にも注目しました。
人間の肌の表面には、目に見えないほど小さな細菌がたくさん住んでいます。
これらの細菌が出す物質が、肌のにおいを作り出すことが知られています。
実際に蚊は、この肌のにおいに強く引き寄せられるのです。
肌から採取した細菌を調べた結果、蚊に好かれやすかった人には「ストレプトコッカス(連鎖球菌)」という種類の細菌が比較的多いことが分かりました。