2021年現在、百貨店業界では、新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛やインバウンド需要の減少などにより厳しい経営状態が続いています。

そんな中、大手百貨店の髙島屋と三越伊勢丹では、コロナ禍を生き残るためにどのような戦略を取っているのでしょうか。

目次

  1. 百貨店業界、コロナ禍で苦境
    1. 自主的に時短営業する店舗も
  2. 苦境の中、髙島屋・三越伊勢丹の戦略は?
    1. 実店舗を活かし、ECとつなぐ「DX」
    2. コスト削減にも注力
  3. ビジネスモデルの転換など、大胆な戦略をとる百貨店も

百貨店業界、コロナ禍で苦境

新型コロナウイルスの感染拡大によって、百貨店業界の売上にも多大な影響が出ています。

日本百貨店協会が2021年1月22日に発表した「全国百貨店売上高概況」によると、2020年全国百貨店の年間売上高は4兆2,204億円、前年度比25.7%となっています。

2021年1月の売上高は約3,265億で前年同月比29.7%と、2019年10月から百貨店業界全体では16か月連続でマイナスの売上高が継続しており、コロナ禍が追い討ちをかけた形となっています。

自主的に時短営業する店舗も

2回目の緊急事態宣言では、百貨店などの商業施設に対しての営業時間短縮(以下、時短営業)の要請は出されていません。

しかし、三越伊勢丹では2021年1月8日から首都圏にある店舗すべてで当面の間、時短営業を行うことを発表しているほか、髙島屋でも1月13日より当面の間、日本橋店、新宿店、玉川店、横浜店などでの時短営業が発表されています。

また、髙島屋の大阪店、堺店、泉北店、京都店、岐阜店、博多リバレインモールでは、2月28日に6府県(岐阜・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡)での緊急事態宣言が解除された後も、閉店時間を1時間延ばすなど緩和した状態で続けられています。

苦境の中、髙島屋・三越伊勢丹の戦略は?

元々の百貨店業界不振に加えてコロナ禍での厳しい状況の中で、それぞれの百貨店ではどのような戦略が取られているのでしょうか。

ここでは髙島屋と三越伊勢丹での取り組みについて解説します。

実店舗を活かし、ECとつなぐ「DX」

髙島屋と三越伊勢丹での戦略として、デジタルを強化しつつ、実店舗も活かしていく点が共通しています。

<三越伊勢丹の「百貨店DX」:いち早くオンラインサービスを展開>

三越伊勢丹では、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を推進するためのグループ会社を立ち上げ、デジタル施策のシステム開発を進めています。

これまでDXとして取り入れられたものとして、2019年2月にスタートした化粧品専用WEBサイト「meeco(ミーコ)」では、商品の発売日や予約開始日がわかるカレンダー機能やメイクのシミュレーション機能を備えています。さらに2019年秋に開始した「DROBE(ドローブ)」では、顧客とのチャットからスタイリストがファッションを選択し、顧客は自宅で試着後、気に入らなければ返品ができるというサービスが展開されています。

また、2020年春にはオンラインストアを刷新して商品数を20万種類とこれまでの3倍以上に増やし、これまで分散していたスマートフォンのアプリを会員情報や店舗情報も共有するアプリに統合しました。

2020年11月にはオンライン接客サービス「三越伊勢丹リモートショッピング」を立ち上げ、販売員と顧客がチャットやビデオ通話機能を利用して店頭の商品を紹介・販売するサービスをはじめています。

ECサイトやオンラインサービスの整備などで地方店の競争力の底上げをはかり、アフターコロナでのインバウンドや富裕層の来店が見込める都内の旗艦店(伊勢丹新宿店、銀座三越、日本橋三越本店)では、需要が高い化粧品や宝飾品などのフロアを拡張するなど、デジタルを強化しつつも実際の店舗も同時に強化する戦略となっています。

<髙島屋の「百貨店EC」:独自商品の開発>

髙島屋ではEC事業の戦略として、ネット専門のバイヤーを配置し、独自商品の開発を強化しています。2020年の半年間のECサイトの売り上げでは前年比168%と今までにない伸びを示しているといいます。

さらにライブ動画を配信して商品を販売する「ライブコマース」での物産展開催や高級ブランドの取り扱いを増やすなどの施策を行い、2023年度のネット通販の売上高を2020年度のほぼ倍の500億円とする方針です。

一方、EC事業に注力しながらも、あくまで実店舗を補完する「百貨店EC」を目指しており、百貨店の強みである「商品力」と「接客の品質」にデジタルを組み合わせていく考え方でデジタル化を進めていくとし、テレビ電話を利用した「リモート接客」などのサービスも行っています。

コスト削減にも注力

百貨店業界全体での売上高が2019年10月から2020年2月まで16か月連続でマイナスで継続しているなか、髙島屋と三越伊勢丹はそれぞれの経営計画や決算の中で「コストの構造改革」を記しています。

三越伊勢丹ホールディングスは、新型コロナウイルス感染拡大に社会環境や消費構造の変化によって、2019年に示していた「2019~2021年度中期経営計画」を取り下げましたが、2021年度中に新しい経営の「中期計画」と「長期計画」を発表する予定で、策定を進める中で「コスト削減を徹底し推進」するとしています。

一方髙島屋でも、2021年2月期第2四半期説明会資料の中でコロナ禍における経営課題として「国内百貨店は、成長の原資をコスト構造改革で創出」と記しています。

髙島屋ブランド価値の源泉である国内百貨店店舗ではコストの構造改革を最優先課題として取り組み、そこから得られる原資からネットビジネスの強化、デジタル化の推進、アパレル・フードの再構築に取り組むとしています。

2社ともにコスト削減の詳細については明らかにされていませんが、小売業でコストを削減する場合、独自商品を開発して製造から小売までのコストを抑えるといった戦略が考えられます。

たとえばこのビジネスモデルを採用している企業として、家具小売業大手の「ニトリ」が挙げられます。

ニトリは自社の業種を「製造物流小売業」と位置付け、商品の企画開発から物流・販売までを一貫して自社で管理することで、高品質・低コストを実現しています。

実際、先述したように髙島屋でも独自商品の開発が進められており、コストカットの一戦略として現実的なものだといえるでしょう。

ビジネスモデルの転換など、大胆な戦略をとる百貨店も

百貨店業界の中でも、ビジネスモデルを転換し売上維持をはかっているのが、丸井グループです。

丸井では、数年前からフィンテック(FinTech/financial technologyの略)事業が好調となっています。2021年3月期第2四半期連結決算では小売事業が営業利益11億円(前年同期比24%)に留まったのに対し、フィンテック事業の営業利益は227億円(107%)と、コロナ禍においても順調な成長を見せています。

今後は、丸井のようにビジネスモデル自体を転換するというのも一つの選択肢となるかもしれません。

百貨店ならではの強みを活かしたDXや、顧客ニーズに合った独自商品開発の強化など、コロナ禍でのニーズの変化などに柔軟に順応できるかどうかが、ウィズコロナ・アフターコロナの時代で百貨店が生き残れるかどうかのカギとなるでしょう。

提供元・口コミラボ

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