こちらは「co-PelV(コ・ペルブイ)」と呼ばれていて、PelV-1と同じグループのウイルスでした。

ただし、このウイルスはPelV-1のような長いしっぽは持っていないようでした。

ではPelV-1のしっぽは何のために存在するのでしょうか?

尾長ウイルスは地球の炭素を動かしている

尾長ウイルスは地球の炭素を動かしている
尾長ウイルスは地球の炭素を動かしている / ウイルスが植物プランクトンの細胞(宿主)に“出会い、感染する瞬間”を捉えたものです。まずウイルスは短い尾で細胞の表面にピタッとくっつき、しっぽを介してターゲットにアプローチします。その後、細胞はウイルスをまるごと飲み込むように取り込みます。つまり、ウイルスはしっぽを「ドアノブ」のように使って細胞に合図を送り、細胞はその合図を受け取って自らウイルスを中に迎え入れるのです。ここでは、ウイルスが“無理やり突き刺さる”のではなく、“相手に飲み込ませる”という、非常に巧みな戦略で感染していることがよくわかります。/Credit:A dinoflagellate-infecting giant virus with a micron-length tail

今回の研究で見つかったPelV-1(ペルブイワン)は、ウイルスに対するこれまでのイメージを大きくくつがえす存在です。

ふつう、ウイルスといえば「小さくて単純」という印象が強いかもしれません。

でもPelV-1は、体のサイズも、持っている遺伝子の数も、そして“できること”も、今までのウイルスとはまったくちがっていました。

とくに注目されたのが、PelV-1の持つ「しっぽ」です。

このしっぽは2.3マイクロメートルもあり、広い海の中でウイルスが効率よくプランクトンと出会うための「釣り竿」や「アンテナ」のような役割をしているかもしれません。

研究チームは、このしっぽがあることで、ウイルスの「体の大きさ」が広がり、より多くの宿主(感染する相手)にふれるチャンスが増えると考えています。