このような結び目の反例が本当に存在するのでしょうか?

謎を解明するために、研究者たちはまず、具体的に調べられるような、分かりやすい結び目を用意して調査を進めました。

最初に研究者たちが注目したのは、「トーラス結び目」と呼ばれる特別な結び目です。

トーラス結び目というのは、ドーナツのような輪の形をしたもの(トーラス)の表面に、規則的なパターンで紐をぐるぐると巻きつけて作った結び目のことです。

このような結び目は、規則正しい形をしているため、数学者にとって非常に分析がしやすく、よく研究の対象にされています。

このトーラス結び目の中でも、特に有名で数学者によく知られている結び目があります。

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次に、この20個ある交差点をじっくりと観察し、「特に重要だと思われる交差点」を慎重に選んで、そこだけ紐の上下関係を入れ替える操作を行いました。 これは、絡まった紐をほどくときに紐を一度切って入れ替えるのと同じ効果を持つ操作です。/Credit:Unknotting number is not additive under connected sum

それは、「2回巻き」と「7回巻き」という規則的なパターンでトーラスの表面に巻かれた結び目(「(2,7)-トーラス結び目」と呼ばれるもの)で、数学者たちはこれを「7₁」という記号で表しています。

この「7₁」という結び目は、最低でも「3回」、紐の上下関係を入れ替えるような操作をしないと完全にほどけないことがすでに分かっています。

つまり、「7₁」はそれなりにほどくのが難しい結び目なのです。

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研究者がこの操作を2回だけ行ったところ、驚いたことに、もとの複雑な結び目が一気に形を変えて、別のややシンプルな絡まりへと変化しました。 研究チームはこの新しい結び目に「K14a18636」という名前をつけましたが、簡単に言えば「たった2回の操作で別のもっと簡単な絡まりになった」ということです。 さて、この新しい結び目は完全にほどくにはあと何回の操作が必要でしょうか? 研究者たちはさらに実験を続けました。/Credit:Unknotting number is not additive under connected sum