動物たちが仲間同士で助け合う姿は、自然界でも数多く観察されてきました。
たとえば、猿が仲間の毛づくろいをしたり、ゾウが倒れた仲間を立ち上がらせようとしたりと、同種間での協力行動はさほど珍しいものではありません。
しかし、異なる種の動物同士が協力し合うというのは非常に稀であり、科学的にも注目される現象です。
だからこそ、オーストラリア西部で、イルカがクジラを助けるような場面が観察されたのは驚くべきことです。
この一連の行動を観察・記録したのは、西オーストラリア州バンバリーの海洋保護施設Dolphin Discovery Centre(ドルフィン・ディスカバリー・センター)です。
彼らは、イルカがまるで導くかのように迷子クジラを沖へと誘導していく様子を、2025年6月19日にFacebookで報告しました。
目次
- 迷子のクジラの元に颯爽と現れ、沖へと誘導するイルカたち
- これは「異種間の助け合い」なのか?
迷子のクジラの元に颯爽と現れ、沖へと誘導するイルカたち
舞台は西オーストラリアの都市バンバリー。
2024年6月中旬、曇天の広がるクンバナ湾で、見慣れない大型の影が確認されました。
地元の海洋保護施設Dolphin Discovery Centreのボランティアが望遠鏡と双眼鏡で湾内を観察していた際、イルカとは明らかに異なる、大きなシルエットを発見したのです。
すぐに同センターは、ドローンとクルーズ船を出動させ、現場へ向かいました。

上空からの映像と船上からの観察により、その動物が若いザトウクジラであることが判明しました。
クジラは幸いにも「健康状態に問題なく、漁具に絡まった様子もなかった」とFacebookの投稿で報告されています。
ただし、クンバナ湾は比較的浅く、クジラが長く留まることには座礁や体力の消耗といったリスクがあります。