といった特徴が見られます。

このような現象は、不安障害、うつ病、ADHD、トラウマなどと併発することも多く、単なる「夢見がちな人」として見逃されがちです。

しかし実際には人口の約2.5%がこのMDによって臨床レベルの支障を抱えているとの報告もあります。

MDはしばしば、心の痛みや現実のつらさから自分を守るための無意識的な戦略として働きます。

とくに「自分は無力だ」「現実の自分に価値がない」と感じている人ほど、空想の中で自分を特別な存在に仕立てることで、自尊心を保とうとする傾向があります。

このような自己イメージの防衛に関係するのが、今回注目されたナルシシズム(自己愛傾向)なのです。

ナルシシズムと妄想の関係とは?

今回の研究は、自己愛性パーソナリティ(ナルシシズム)傾向と不適応性白昼夢の関係を科学的に検証しました。

調査では、18〜60歳の若者を中心とする562人を対象に、不適応性白昼夢尺度(MDS-16)と病的自己愛尺度(PNI)、さらに心理的防衛機制を測定する尺度(DMRS-SR-30)を用いて調査を実施。

心理的防衛機制とは、不安やストレスから自分を守るために無意識のうちに働く心の戦略のこと。

その適応度によって、ポジティブな「成熟型(ユーモア・昇華など)」か、ネガティブな「神経症型(抑圧・置き換えなど)」「未熟型(否認・投影など)」に分類されます。

その結果、以下のことが明らかになりました。

・自己愛傾向が強い人ほど、MDのスコアが高い

・MD傾向が強い人は、「成熟型」ではなく、「未熟型」や「神経症的」な心理的防衛機制に頼る傾向が強かった

・若い人ほどMDに陥りやすいが、性別による差は見られなかった

さらに「ナルシシズム → 防衛機制 → MD」という因果的な連鎖のモデルを統計的に検証したところ、

・未熟な防衛機制(否認・投影など)を通じてMDが強まる

・神経症的な防衛(抑圧など)も中程度に関与