朝から晩まで働きづめ、帰宅すれば家事や育児に追われ、週末は気づけば終わっている。

そんな生活を続けていると、ふとした瞬間に「これでいいのかな?」「幸せって、なんだっけ?」と感じるかもしれません。

そんな“幸福感の喪失”に悩む人々に対して、組織心理学者であり行動科学者のマイク・ラッカー博士は、著書『The Fun Habit』を通じて重要な指摘をしています。

「楽しいことは、自然には起きない。意識して作り出すものだ」

本記事では彼のアドバイスを元に、楽しさを生み出すための「PLAYモデル」について解説します。

目次

  • 「楽しいことは自然に起きる」という誤解
  • 楽しさを分類して見える化する「PLAYモデル」
  • 今を楽しむための「7日間チャレンジ」

「楽しいことは自然に起きる」という誤解

「幸福でない」と感じている大人の多くは、「楽しいことは予定しなくても自然に起きるもの」と信じています。

学生時代のように、気の合う友人と偶然出かけたり、ふとした出来事で笑い転げたり、そうした体験が自動的に湧いてくると期待しているのです。

しかし、マイク・ラッカー博士はこの考えを「現代人にとっては幻想」だと断じます。

忙しくなればなるほど、人の生活は他人の要求・仕事の締切・スマホの通知などに支配され、自分の“楽しいこと”を後回しにしがちだからです。

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「楽しいことは自然に発生する」という誤解 / Credit:Canva

そして、楽しさがないまま日々を過ごしてしまうと、やがて次のような“幸福の罠”に落ちてしまいます。

それが、「自分は幸せか?」と問うことで、かえって幸せから遠ざかってしまうという現象です。

幸福を“評価する対象”として捉えると、人は無意識に自分の生活に点数をつけ始めます。

そして完璧ではない現実に不満を抱くようになり、「今を楽しむ」力を失っていくのです。

ここでラッカー博士は、幸福よりも「楽しさ(fun)」に注目することをすすめます。