しかし、ホルモンだけで全てを説明できるわけではありません。

心理的な側面から見ても、性行為は強力なリラックス効果を持っています。

パートナーとスキンシップを取ったり、親密な時間を過ごしたりすることは、日常生活で溜まった緊張や不安を忘れさせてくれます。

専門家も「性行為はストレスを軽減し、睡眠を深く、良質なものにする助けになる」と述べています。

忙しい日々の中で仕事や人間関係の悩みに追われているときでも、パートナーとの触れ合いによって心が落ち着けば、深く安定した眠りを得られる可能性が高まるのです。

今回の調査はこうした可能性を示しましたが、一方で調査自体は非常に小規模で、参加者も若年層に限られていました。

また睡眠の質の評価が主観的なアンケートに基づいているため、客観的な測定結果ではないという限界があります。

つまり今回の結果は、あくまで「予備的なデータ」であり、確定的な結論を出すためには、さらに大規模かつ厳密な調査が求められます。

研究者自身も「今回のデータはまだ予備的なものだが、性行為が睡眠を改善する方法として頻繁に使われているという発見はとても興味深い」と述べており、今後さらなる研究を行う必要があることを強調しています。

それでも今回の研究は不眠症に悩む人たちにとって新しい選択肢を提示した点で意義があります。

睡眠薬に頼ることに抵抗がある人や、副作用や依存のリスクを避けたい人にとって、自然で健康的な方法として性行為を取り入れることは魅力的かもしれません。

特にパートナーがいる場合は、二人の関係を深めながら睡眠の質も改善できるという、一石二鳥の効果が期待できます。

これまで漠然と信じられてきた「夜にセックスをするとよく眠れる」という言い伝えが、科学的な研究によって初めて裏付けられたといえるでしょう。

ただし、注意点もあります。

性行為が必ずしもすべての人に良い影響をもたらすわけではありません。