ノルウェーを拠点とするシブステッド・メディアもオープンAIと提携を持つ企業の一つだ。シブステッド社でデータとAIを担当するフアン・カルロス・ロペス・カルヴェット氏は提携理由を「業界トップの企業から学べること」と述べている。チャットGPTのサービスに報道機関側の意見も採用されるようにしたかったという。

同社のアフテンブラデット紙、VG紙のAIツールは前回のアクセスでは見落とした記事の要約を提供し、動画も自動的に生成する。

ロペス・カルヴェット氏がいくつもの具体例を説明する姿を見ていると、テクノロジー企業の実験台として報道機関が使われているようにも見えた。もちろん「報道機関こそがテック企業を利用しているのだ」といえるのかもしれないが。今後、依存度がさらに高まりそうだ。

金ペン賞はウクライナの独立メディアに

報道の自由に寄与したジャーナリストや組織に贈る「自由のための金ペン賞」は、ウクライナの独立メディア各社に授与された。「2022年のロシアの侵攻以来、ウクライナの報道関係者が払った計り知れない犠牲を認識し、戦時であろうと平時であろうと、最高の基準を守るための彼らの献身、プロフェッショナリズム、コミットメントに敬意を表する」(WAN-IFRA)。

各社を代表したウクライナ独立報道機関協会のオクサナ・ブロフコ最高経営責任者(CEO)は受賞演説でこう述べた。

「私たちは勇気があるから書いているのではない。沈黙は選択肢ではないから書いている」「独立したジャーナリズムはぜいたくではなく、自由のためのインフラだ」。そして、この賞は「祝賀ではなく、責任を意味する。特に沈黙が安全であるときこそ、語り続けることが求められている」。

演説後、会場にいたウクライナのジャーナリストたちが壇上に並んだ。若い女性たちばかりである。男性たちが戦場に出ていることを思い知らされる光景だった。

来年の世界ニュースメディア大会は6月、仏マルセイユで開催される。

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