サイトの編集長は「人間の編集者を使った場合の質の高さを維持した」と評価している。
複数の言語への翻訳もAIを使えば瞬時に出来上がるが、「現段階では編集者がチェックする過程が必要だ」(ベル氏)。
お悩み相談にAI
読者から寄せられた悩みにAIが回答する記事を採用するメディアもあった。読み物・コラムとしては興味深いものになり得ることが想像できるものの、日本の新聞では読者から寄せられた悩みに対し、作家、著名人、専門家などが独特の回答をし、読者を楽しませてきた。もしこうした記事をAIが書くようになれば、コラムニストたちはいらなくなる。改めて「人間の書き手が消える」将来が近づいていることを実感した。
なお、今回の大会のすべてのセッションにはWAN-IFRAの大会用アプリを使って複数の言語に瞬時に翻訳するサービスが初めて導入された。翻訳ブースの中で翻訳者たちがマイクに向かって作業に没頭していたのは昔の話となった。
「グーグルの検索は終わりだ」
チャットGPTの開発で知られる米オープンAI社の知財部門を統括するトム・ルービン氏はグーグルによる検索の時代が終わったことを講演の中で示唆した。
ネット利用者は「会話系で質問の意図をもっと反映する検索の形」を好むようになっており、「10本の青い線が検索結果として出るような非効率な手法」はその反対の位置にいると述べた。
チャットGPTの利用者は週5億人に達するという。このうちの2億人が有料契約者だ。総利用者数は1年前と比較して5倍に増えている。
チャットGPTは昨年秋から検索機能を有し、オンラインショッピングには個人のニーズに合わせたレコメンド機能の導入も開始した。
オープンAIはWAN-IFRA及び複数の報道機関と提携関係を結び、利用者がチャットGPTや関連サービスを使うとき、回答の中に個々の報道機関のコンテンツを「情報ソース」として紹介するようにしている。