図3が2022年のOECD各国における国際比較です。

日本は92.7%で、OECD平均値の約2倍と圧倒的な水準です。

高所得国としても知られるルクセンブルクが2番目の水準というのも印象的です。

G7各国は上位~注意に分布していて、ドイツも比較的高い水準である事がわかります。

また、スロバキア、ハンガリー、チェコなど東欧諸国も上位なのが印象的ですね。

これらの国々はEU圏内で他国からの投資が増えていて、製造業を中心に成長している事と関係がありそうです。

ただし、ポーランドが28.5%とかなり低い水準なのが印象的です。

4. 製造業の投資

日本は稼ぎの割に固定資本減耗の割合が多い事がわかりました。

固定資本減耗が多いという事は、それだけ投資(総固定資本形成)も多い事になります。

念のため、製造業の総固定資本形成についても確認してみましょう。

図4 営業余剰・混合所得(総)に対する総固定資本形成の割合 製造業OECD Data Explorerより

図4が主要先進国の製造業について、営業余剰・混合所得(総)に対する総固定資本形成の割合を計算した結果です。

やはり日本は相対的にかなり高い水準が継続している事が確認できます。

稼ぎ出す付加価値や、企業側に残る営業余剰の割に、投資が多く、その維持費用が嵩んでいる事がわかります。

5. 製造業の固定資本減耗の特徴

今回は、製造業についての固定資本減耗と営業余剰の関係を国際比較してみました。

日本は製造業において特に固定資本減耗の割合が高いようです。

固定資産への投資が多く、その割に付加価値を稼げていない事になります。

結果的に、企業側に残る営業余剰(純)も大きく目減りしています。

当社も当事者として感じるのは、小さな町工場でも高価な工作機械をいくつも設備している企業が多い事です。

そのような企業の多くは、機械の維持費用を賄うために、安い仕事をたくさん請けて稼働率を確保しています。