「ぐっすりの睡眠」を進化
スーパーホテルといえば、科学的な知見に基づいて開発したオリジナルのベッドを使用したり、室内にさまざまな工夫を凝らすなどお客様への『快適な睡眠』の提供を徹底している点がストロングポイントとなっていたが、方向性やコンセプトの転換を行ったのか。
「私どもは以前から品質保証制度として『ぐっすり眠れなければ宿泊代金を返金します』という制度を設けておりますが、コロナ禍を経て、改めて『ぐっすり』を進化させようという動きになっております。原点回帰といってよいと思いますが、女性客の需要も増えたことを受け、新たなレディースルームを設け、美容メーカー様のドライヤー・シャワーヘッドを採用し、女性の体に合ったベッド、マットレス、枕を開発し、非常にご好評をいただいております。パジャマもこれのワンピースタイプからセパレートタイプに変更し、さらに体のリズムを整えて免疫力向上が期待できる特殊な加工を施し、素材や着心地にもこだわりました。一般販売してほしいというお声が多くオンライン販売したところ、販売と同時に売り切れるほど好評をいただいております。このほか、スーパーホテルには温泉がございますので、秋田大学と共同で温泉と睡眠の関連性について研究を進めており、その結果を踏まえて新たな取り組みを行っていく予定です」(星山氏)
Super Dream Project(ベンチャー支配人制度)
前述のSuper Dream Project(ベンチャー支配人制度)を導入している背景、理由は何か。
「店舗を拡大していくなかで、さらなるイノベーションが必要だと考え、1998年頃からこの制度を展開させていただいております。将来、事業を起こしたい、お店を経営したいといった目標を持つ方にスーパーホテル1棟の運営をお任せさせていただいております。Super Dream Project(ベンチャー支配人制度)にご応募される方は、経営者マインドを持つ自律型感動人間の方が多く、たくさんのイノベーションを起こしていただいております。このベンチャー支配人制度の方々によるイノベーションがなければ、現在の店舗数まで拡大していなかったと思いますし、売上の拡大、顧客満足度の向上もなかったと思います。
Super Dream Project(ベンチャー支配人制度)にご応募される方は、ご夫婦、カップルの方に限らず、同居が可能であることが条件となっておりますので、ご友人同士、兄弟、親子の方、グローバル人材ペアなど幅広く採用させていただいており年間で約30~35組ぐらいの方を採用させていただいております。もちろん個人差はありますが、4年ほどで約2000万円ほど資金を蓄えられるようになっております。50室の店舗と200室の店舗では経営の難易度も売上も大きく異なりますが、大規模な店舗では1組で4000万円以上の収入を得るケースもございます」(スーパーホテル ベンチャー支配人採用)
上記以外にもスーパーホテルは、客室における健康イオン水の提供や天井などでの調湿・消臭機能を持つ珪藻土の利用、オーガニック食材を使用した朝食の提供、ペーパーレスのチェックインをはじめとするDX化、8種類の枕のなかから選べるサービス、そして疲労回復効果のある温泉など、細かい点での顧客サービス向上と経営効率化に向けた“やるべき施策”をきっちりと進めている。同社の躍進は当面は続きそうだ。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)