■それにしてもこの店員、ノリノリである
こちらのツイートは、投稿からわずか数日で1万件近くものRTを記録するほど大きな話題に。
他のツイッターユーザーからは「おっきい50円というパワーワード」「ちゃんと『いいっすか?』と確認するのは神対応」「こんなに大きな五十円玉知らない…」「大きい五十円玉が存在することを初めて知りました…」などの声が寄せられていた。
なお、ツイート投稿主・俺の酒飲むなよさんがお釣りを渡された際に「ほんとにおっきいじゃん!!」とリアクションを見せると、店員も「そーなんすよ!」とノリノリの様子で応えたそうで、なんとも微笑ましい限り。
一瞬、店員が偽物の五十円玉を用意した「ドッキリ」かとも思ったが、「昭和三十八年」と刻印された硬貨の質感を見て、考えを改めたそう。
件の五十円玉との付き合い方に関しては「まだ特に考えてませんが、せっかく私の手元に来てくれたので。お風呂に入れてピカピカに磨いてあげようと思います」「60年の歴史のある五十円玉を見て酒を飲むのも良いかなと思ってます」と、アカウント名に恥じない「呑兵衛」の矜持を感じさせるコメントが得られたのだった。
しかしこちらの五十円玉、なぜこんなにもサイズが大きいのだろうか。今回はその正体を探るべく、国内の硬貨を製造する「造幣局」に詳しい話を聞いてみることに。その結果、身近な貨幣である五十円玉の「知られざる正体」が明らかになったのだ…。
■五十円玉にそんな歴史があったのか…
まずは、五十円玉の「歴史」について確認することに。
造幣局担当者は「1955年(昭和30年)ごろからいわゆる『神武景気』により貨幣需要が高まり、50円日本銀行券に代わる硬貨の要望が強まったため、同年より『50円ニッケル貨幣』が発行されました」と、五十円玉の起源について説明する。
じつは当初、五十円玉には穴があいていなかったのだが、流通から2年後の1957年(昭和32年)に百円玉が初めて発行された際に「100円と50円が紛らわしい」という声が上がりだす事態に。
そこで1959年(昭和34年)に「穴があいたデザイン」に改鋳されたのが、今回話題となった『50円ニッケル貨幣』(同名)である。
その後、国内におけるニッケル使用量の増加に伴い、1967年(昭和42年)より材質がニッケルでなく、白銅(銅:75%、ニッケル:25%)に変更され、デザインも一新した五十円玉こそが、我われが現在も使用している「50円白銅貨幣」なのだ。
この際に貨幣の大きさも変更となり、現行の五十円玉の直径が21mmであるのに対し、それ以前のデザインは直径25mm。まさに件の店員が口にした通り「おっきい50円」だったワケである。
なお、造幣局からは「穴のない50円ニッケル貨幣も、穴のある50円ニッケル貨幣も、現在は発行されていませんが、どちらも通用力を有する貨幣です」と、驚きのコメントが得られたのだった。