炭素税は最大1200ドル/トンかける必要
Jennifer Morris et al.は、炭素税のコストをくわしく調べている。2050年ネットゼロ(CO₂排出量実質ゼロ)を実現するには、世界一律に最大1200ドル/トンの炭素税をかける必要がある。
図2 必要な炭素税率(CO₂トン当たり)
これはヨーロッパで最高の炭素税をかけている国の80ドル/トンをはるかに上回る。日本円でいうと、18万円/トンである。政府のGX戦略では1万円の「GX賦課金」が提案されているが、そんなものでは何の効果もない。
このように桁違いのコストがかかるのは、2050年ゼロという目標が非現実的だからだ。長期的に排出量を減らして1.5℃目標に近づけるほうがましだが、それでも最大500ドルの炭素税が必要で、これはどこの国も課税できるとは考えられない。
日本ではガソリンに400円/リッターの炭素税をかける必要があるが、岸田政権は70円程度の税率もトリガー条項発動で下げようとしている。
要するに現状のようなアドホックな脱炭素化政策にはほとんど効果がなく、地球温暖化は止まらないのだ。COP28の討議は単なる外交的おしゃべりで、実効性のある協定は何もできない。1.5℃目標とか2050年ネットゼロという空想的な目標を掲げるのはやめ、現実に何ができるかを考える方向に転換すべきだ。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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