イタリアのメディアは列福式の当時、「ジーンズ、スニーカー、セーターを着た史上初と思われる列福者」と呼び、アクティス君は既に多くの人から、「インターネットの守護者」、「神のインフルエンサー」と呼ばれている。

アクティス君にはその後、列聖入りのために奇跡の証が伝えられた。例えば、2022年にフィレンツェで自転車事故に遭い、頭部に重傷を負ったコスタリカ出身の21歳の学生が治癒したことだ。学生の母親はアクティス君の墓を巡礼し、娘の回復を祈った。被害者は同日、再び自力呼吸を始めたという。フランシスコ教皇はこの新たな奇跡を公認したことで、アクティス君の聖人への道が晴れて開いたわけだ。

今日のインターネット世代は、自身のウェブサイトの写真やキーワードで注目を集めたアクティス君のような人物を好む。彼は新鮮で生き生きとした言葉で自分の信仰を伝え、多くの若者にメッセージを届けたという。

15歳で亡くなったアクティス君の列聖の話はバチカン側のいい意味でのプロパガンダの感はするが、神のメッセージを紙媒体で伝える時代は過ぎ、デジタルでインターネット上で伝える時代圏に入ってきている。その意味で、カトリック教会でその道を開拓していったアクティス君は聖人クラブ入りしても可笑しくないのかもしれない。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年5月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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