仕事は一つずつ片付けていくもの。そう考える人も多いだろう。しかし実は、複数の仕事を少しずつ同時並行で進めたほうが最短で仕事を終えることができる。
そう語るのは時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、複数の仕事を同時並行で進める仕事術の解説を、再構成してお届けします。
複数の仕事を同時進行で進めるメリット世界累計で500万部を超えるベストセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)の著者 岸見一郎氏は複数の本の原稿を同時進行で書き進めるという。実は30分仕事術も、複数の仕事を同時進行で進める仕事術だ。
ひとつの仕事に1日30分以上かけないことを意識すると、1日の仕事の単位はそれぞれ30分以下となる。そうすると、1日に複数の仕事をこなしていく働き方に自ずと変わる。
複数の仕事を同時進行で進めるメリットは2つある。ひとつの仕事にかける時間を30分と短くすることでダレ・飽きを起こさずに高い集中力とモチベーションを維持して仕事をこなしていけること。もうひとつは、突発的な事象が発生しても仕事をうまくマネジメントできるようになることだ。
たとえば今日の午後、仕事Aに3時間取り組もうと考えていたとする。そんな中、午後に顧客からクレームが入り、午後いっぱい対応に追われることになったとしよう。
この場合、午後に取り組む予定だった仕事Aは翌日以降に先送りせざるを得なくなる。そうすると仕事Aの進行に大きな支障が生じる。もし仕事Aの締め切りが翌日だった場合、不本意ながら3時間余計に残業して終わらせなければならなくなるだろう。
私はこうした予定外の残業が本当に嫌いだ。同じ3時間でも、自分の決めたスケジュールにそって取り組むのと、予定外の残業を強いられて取り組むのとでは天と地の差がある。後者のストレスはとてつもなく大きい。それだけでなく、予定していた飲みの誘いもキャンセルしなければならなくなる。ありえない話だ。
ここでいいニュースがある。複数の仕事を毎日30分ずつ同時進行で進めていれば、こうした事態に陥ることがなくなるのだ。少なくとも突発的な事態が起きてもダメージははるかに少なくなる。同じように例を使って考えてみよう。
たとえば今日の午後に3時間、仕事A~Fの6つの仕事に30分ずつ時間をかける予定だったとする(6つの仕事×30分=3時間だ)。先の例と同様、クレーム対応に午後半日を費やしてしまった。
その場合、取り組む予定だったA~Fの各々の仕事量は30分だけだ。たったそれだけなら各々の仕事を明日に先送りしても仕事の進行上問題ない。そもそも30分仕事術を実践していて、毎日30分ずつA~Fに取り組んでいれば、締め切りが明日でピンチ! なんて事態になることもまずない。
もし万が一締め切りが明日でも、残業しなければならない時間は30分だけ。これなら飲み会にちょっと遅刻するだけですむ(もちろんA~Fの締め切りが全部明日! なんてことになれば3時間残業だ。でもそんな事態になることはまず考えられない)。
実は私が30分仕事術を生み出したきっかけのひとつは、残業ゼロの働き方を実践していたからだ。毎日17時きっかりに退社するためには、予定外の残業の発生をゼロにする必要があった。しかし予定外の仕事の発生は、いくら私でも避けることはできない。どうしても今日中にこの仕事をやってほしい。そう依頼されることもあるわけだ。
私にはそうした不測の事態が発生しても、仕事をきちんと終わらせて定時に帰る必要があった。どうしたらいかなるときでもそれを達成できるのか。考え抜いて生み出した手法が30分仕事術だった。
実際30分仕事術を実践するようになってからは予定外の緊急の仕事が発生しても、残業してまで終わらせなければならない仕事は皆無になった。私はこの仕事術のおかげで人生をより楽しめるようになったのだ。