アニメは日本のお家芸、そういうイメージは強いでしょう。ただ、アニメ関係商品を海外で売っている者としては5年後を想像できない、それが正直なところです。
日本のアニメが絶対的な神話となったのは50年代から60年代生まれの人々の圧倒的支持だと思います。私の東京の不動産事業の一つにトキワ荘関連施設への場所の提供があります。トキワ荘はマンガが好きな人なら誰でも知る聖地であり、またそのおひざ元の豊島区がアニメ文化育成に力を注いできています。特に女性客が多く、池袋のサンシャインそばの乙女ロードに行き、アニメイト本店は週末は客でごった返します。(男性はどちらかと言えば秋葉原だと思います。)
一方、海外でもジャパンアニメは普遍とされますが、正直、風向きは変わってきています。1つにはヒット作品次第であり、海外でも一様に受けるわけではないのです。たとえば進撃の巨人はあまり手ごたえはなかったですし、ワンピースはストーリーが長すぎてついて行けず、厳しいです。スラムダンクは売れますが、白人が購入したケースはほとんどなく、過半は韓国系の女性か50代の前後のアジア系男性が購入していきます。君たちはどう生きるか、がアメリカの映画で受けていると言いますが、それは本当に受けたのか、たまたまハリウッド作品がストライキで提供されず、一年で一番映画が見たくなるこの時期に見る作品がなかったので宮崎駿という名で観客動員につながったのか、判断しにくいところです。
店先に立っていると最近とみに聞かれるのが「これ、日本語(で書かれたアニメ)でしょ?」なのです。かつては日本語でも頑張って読む、という人もいたのですが「日本語なら読めないからいらない」という人が目立つということは欲求の度合いが下がっているわけで売る側としてはアメリカで売っている英語版をもう少し増やすなど、非日本語化へのシフトも必要です。
2023年に爆発的ヒット作品がなかったのも痛いところです。もしかすると仮に24年以降、爆発的ヒット作品が出ても海外では以前のような爆売れはしなくなる公算もあるかと思います。1つにはネットの時代になり、紙媒体での供給はほぼ限界が見えてきた、という点です。それと雑貨などの関連グッズも含め、全体的にミニマリストとまではいわないでも無駄なものを買わないという風潮が強く出ています。つまり邪魔になるものはいらないです。
思い出して頂きたいのは「なぜ新聞を定期購読しなくなったのか?」であります。その筆頭の答えは「邪魔」なのです。一カ月もすれば新聞も結構な山になります。それを束ねても昔のように「古新聞、古雑誌」の回収のおじさんはもうやってきません。ならばネットで読む方がはるかに手っ取り早いわけで今でも新聞にこだわるのはそれなりの年齢の方に限るし、図書館で真っ先に奪い合うのは紙の新聞を読みたがる高齢者であります。
日本の新聞の特徴に編集技術があり、確かにネット新聞にはない目立たせ方が満載であります。実はマンガのコマ割りもこの新聞編集と同様、読ませる技術が満載であり、それゆえに日本のマンガはスマホの縦読みがなかなか普及しませんでした。一方、お隣の韓国はデジタル大国ですから縦読みができるマンガを配信し、それが今では世界の主流になってきたわけです。