なぜか、といえば各消費者の欲望が70年代は物欲が主流であったのに今では物欲の人もいれば幸福という貨幣に換算しにくいものを求める人も増えているからです。これは先進国において生活水準が上昇し、持ち家がほぼ世界基準である60%から65%水準に達し、一定の雇用が常時確保され、老後の社会システムもある程度整ってきているからです。
またお金を使わずに済む社会が生まれていることも事実です。音楽ひとつとってもかつてはレコードを買い、プレーヤーを買いました。その後、CDとCDプレーヤーを買ったりウォークマンを買いました。今はスマホで音楽を聴きますが、音楽にお金を払う人もいれば払わなくてもある程度楽しめる方法もあります。つまりほとんどお金を使うことが少なくなったのです。これならばローンをしてモノを買うという発想は少なくなりますね。
需給ギャップという言葉があります。総需要と総供給の差ということですが、総需要とは消費側の総和、総供給は生産者側の総和であり、過去長いこと総需要が足りないとされてきました。ここにきて改善傾向にありますが、7-9月は3兆円ほどマイナスになっています。80年代頃からの長期の推移から推察すると現在はコロナ期のマイナス局面からの回復期であり、もうしばらく状況は好転し続けるだろうとみられます。2024年は引き続き改善が続くと読めます。
日本に金利ある世界が戻ってくるのか、といえば戻ってくるはずです。戻ってこなければそれは永遠の楽園であるとともに成長を諦めたことになります。但し、先進国になればなるほど成長率は低くなります。せいぜい年間2%あるかないか、でしょう。当然、金利はあっても論理的には1-2%程度にしかならないはずです。
戻ってくるにはいくつかのハードルがあると思います。その中で特に重要で今、起きつつあるのが「自営業と中小企業の淘汰」であります。高度成長期から細々とやってきた家族経営型の零細ビジネスが経営者の年齢もありますが、世の中の流れに勝てなくなったのです。例えば個人経営のラーメン屋が潰れるのは仕入れコストが大量仕入れによる安価なコストほどに引き下げられないからです。つまり市場においてある程度の価格影響力を持てない限り、ビジネスは勝ちにくく、市場からの撤退者が増えるのです。その淘汰が進むとビジネス全般がプロ市場化し、更に新規参入が難しくなり、市場による物価統制が進むことになります。この時点で日本には真の意味での金利の正常化がやってくる、と考えています。
もう1つは老後の心配をなくすことで日本経済は大きく改善します。リタイアされた方の生活は日々の生活を年金収入、退職金を含めた預貯金はなるべく崩さず「いざという時」のために抱え込んでいます。これが日本の圧倒する金融資産のからくりです。これではどうなるか、といえば財務省が笑い転げるのです。「相続税、ガッポ、ガッポ」だからです。よって老後生活に安全プランのベースを作り、セロトニンを出せる安心感を与えることで高齢者の資産の取り崩しを促進させる、これである程度は日本経済の浮上は可能でしょう。まあ、10年から15年ぐらいの間だろうと察しますが。
ところで石破茂氏、長らく潜っていましたが芽が出るかもしれません。球根に栄養たっぷり蓄えているので春には頭角を現すかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年12月26日の記事より転載させていただきました。
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