原子力は、発電に関しては化石燃料と互角かそれ以上に戦える。

それから、省エネは、化石燃料を燃やすよりも経済性が高い場合が多い(金ばかりかかる筋ワルの省エネもあるのでそれは注意は必要だが)。エアコンの効率や自動車の燃費などは、石油ショック以降、ずいぶんと向上した。これは化石燃料消費の削減になった。

今後、筆者が期待するのは、この原子力、省エネに加えて、核融合だ。核融合は、いま国際協力でう進めている実験炉ITER(イーター)は2兆円超、それに続く原型炉(実証炉とも呼ばれる)にもやはり2兆円超かかるが、その後、実用化されれば、既存の原子力発電と互角のコストになると期待している。

一方で、化石燃料の最大の敵はこれまで何だったかというと、じつは化石燃料自身だった。

石油ショック後、50年にわたり、石油価格が高くなりすぎることのないよう、サウジアラビアが主導して、OPECはたびたび減産し、価格を調整してきた。高すぎる石油価格は、代替的なエネルギーや省エネの開発を促すのみならず、ライバルである米国産の石油に負けることも意味するからだ。ここのところ、OPECは価格維持のために石油減産をしてきたが、それ以上に米国が石油を増産して空前の生産量となり、OPECの努力を打ち消してしまった。

また近年、G7諸国はCO2削減のためとして石炭火力発電を目の敵にしているが、中国、インドをはじめとして、グローバルサウスは石炭の開発・利用を進めている。もっとも安価で優れたエネルギーだからだ。

イギリス、ドイツ、米国など、欧米では石炭火力発電は軒並み減少してきたが、最大の理由は、天然ガス火力発電に経済性で負けてきたからだ。要は化石燃料の中で代替が起きているだけで、化石燃料が負けた訳では無い。

化石燃料を禁止するのでは、イタチごっこになるだけである。

化石燃料に代わる、安価で安定した優れたエネルギーこそが、化石燃料の時代を終わらせるのだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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