まさかのライカーズ島の可能性?

刑事司法が専門のニューヘブン大学の准教授、マイク・ローラー氏は昨年、デイリーメールの取材に「比較的短く、数年以内ならば、ニューヨークのライカーズ島に服役するだろう。長ければ、アップステートの矯正施設のいずれかになる可能性もある」とした上で、「シークレットサービスが1人か2人、監房の外で看守と一緒に座ることになるだろう」と主張。「トランプ氏にアクセスする人物や特別房に出入りする人物をスクリーニングするのは間違いないだろう」と述べた。

なおライカーズ島刑務所といえば、劣悪な施設の環境や、精神的および肉体的な暴力など、被収容者に対する過酷な処遇で知られる。同刑務所の元服役囚には、ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマン、サムの息子事件で知られる連続殺人犯、デビッド・バーコウィッツ、ミュージシャンのシド・ヴィシャス、2PAC、DMXなどがいる。ここ数年では、ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインや、ネットフリックスのオリジナルドラマ「令嬢アンナの真実」で話題になったソーホーの女詐欺師ことアンナ・ソローキンも服役した。

ローラー氏はさらに、元大統領であっても処遇に例外はなく、「他の囚人たちと同様、身体検査を受け、囚人服を着用し、不快なベッドを与えられる」と見解を語った。

大統領選への影響は?

審理は6週間から8週間続くと予想されているが、有罪となればトランプ氏が控訴するのは確実視されている。

マンハッタン地検の元検事補、ダイアナ・フローレンス氏は、その場合、トランプ氏は控訴裁判所に保釈金を払って自由を確保するだろうとし、すぐに刑務所に入る可能性は「どんな罪で有罪判決を受けたとしても、1%未満」と語った。

なお有罪が確定しても、大統領選に出馬することは制限されない。憲法が定める要件は限定的で、アメリカで生まれていること、35歳以上で14年以上居住していれば良いとされている。

ただし実刑を命じられ、なおかつ大統領になった場合はどうなるか、「誰もわからない」という。

ニューヨークタイムズは、理論上、大統領が「職務の権限と義務を遂行することができない」場合の副大統領に権限を委譲するプロセスを定めた憲法修正第25条に基づく権限剥奪が可能だとしつつ、副大統領と閣僚の過半数による宣言が必要であることから、現実的でないと指摘している。それよりも、トランプ氏は収監により大統領としての憲法上の義務を果たすことができないとして、釈放を求める訴訟を起こす可能性が高いという。

大統領権限を行使して自分に恩赦や減刑を与える可能性については、合憲性が最高裁まで争われるであろうことに加え、そもそも大統領は州の罪に対する権限がない。この点、バイデン氏もニューヨークの事件についてトランプ氏に恩赦を与えることができない。

前代未聞続きのトランプ氏だが、USA Todayは、選挙に勝利すれば裁判所が任期満了まで刑期を遅らせることができるとも指摘している。