岸田文雄内閣総理大臣 写真:Getty Images

 サッカー日本代表「森保ジャパン」が今月26日開催の北中米W杯アジア2次予選で、13年ぶりに平壌で北朝鮮代表と対戦。北朝鮮が18日午前に弾道ミサイルを3発発射したことを受けて、再び中立開催や日本代表の北朝鮮渡航中止を求める声が挙がる中、岸田文雄内閣総理大臣も同日の参議院予算委員会で平壌開催に言及している。

 今回の平壌開催については、日本サッカー協会(JFA)が今月11日に「金日成競技場での開催が正式決定した」と公式発表。日本政府や国連が北朝鮮に経済制裁を科していることを理由に、JFAが北朝鮮側に放映権料を支払わない可能性が報じられる一方、JFAの山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、14日の代表メンバー発表会見で「サッカー協会の中で担当者がしっかりとコミュニケーションを取って、決まった事実。我々はそれに従うことになる」と述べている。

 ネット上で「26日のアウェーの北朝鮮との試合は中止で」「平壌で試合やるよりも、国民の命が大事」といった声が挙がる中、サッカー日本代表対北朝鮮代表の平壌開催は、18日の参議院予算委員会でも議題に。古賀之士議員(立憲民主党所属)がミサイル問題に言及した上で、「拉致問題、被害についてはもちろんですけど、我が国の国民をしっかり守っていくという、そういう総理のご決断、お約束をしていただけないでしょうか」と問いかける。

 これに対して、岸田首相は「政府として自国の国民の命、暮らしを守るということは、最も重要な責務であります。その状況や課題に合わせて、最大限の政府としての努力を行う。これは当然のことであると考えます」と、平壌開催回避の可能性には言及せず。

 古賀議員は「なでしこジャパンは今年、北朝鮮と対戦する際に、第3国で行われました。そういうこともこの立場で、この委員会の中で申し述べることは控えますが、日本協会(JFA)もそういう形で動いていくのかもしれませんが、是非日本国民を守っていくということを約束いただいたと認識いたしました」と、JFAの対応に期待を寄せている。

 日本対北朝鮮の試合を巡っては、昨年10月1日に行われた第19回アジア競技大会(杭州アジア大会)男子サッカー準々決勝における北朝鮮の暴挙が話題に。前半からラフプレーを連発したほか、後半には一部選手が日本のスタッフからの給水ボトル強奪を試みたほか、スタッフに左手を挙げて威嚇。試合終了直後には、日本へのPK判定に立腹した選手が主審を追い回した。

 パリ五輪アジア最終予選のなでしこジャパン(日本女子代表)対北朝鮮の開催地変更も、日本国内で話題に。この試合は平壌開催の予定だったが、AFCは北朝鮮に対して中立地での開催を検討するよう要求。キックオフ4日前にサウジアラビア開催が正式決定するというドタバタ劇に、MF熊谷紗希(ローマ)は「あってはならないと思う」と不満を漏らしていた。