インドのモディ首相のロシア訪問が、大きなニュースになっている。大国の指導者と会った際には恒例であるハグ(抱擁)を、プーチン大統領との間で行う姿を捉えた写真が、世界を駆け巡った。

プーチン大統領は、ロシア最高位の聖アンドレイ勲章を授与した。ピョートル大帝が300年以上前に創設した勲章で、外国人では2017年の中国の習近平国家主席に続いて4人目だという。モディ氏は「インドの14億人に与えられた栄誉であり、インドとロシアの戦略的パートナーシップが認められたものだ」とコメントした。

聖アンドレイ勲章を授与されるモディ印首相President of Russia

インドは21世紀の超大国である。少なくとも国際機関が提示しているデータはそれを示している。そして世界の数多くの人たちが、そのように信じている。しかし日本では、頑固としてそれを認めない立場を取る人たちが、むしろ人気を得ている。

「インドは大国ではない」、「インドは民主主義国ではない」、「インドはもう経済成長などしていない」・・・、といった論調が、人口に膾炙している。IMF(国際通貨基金)が、2025年にインドのGDPが日本のGDPを追い抜く、という予測を発表した、その矢先に、日本では「インドなんて・・・」の論調が流行している。

第二次安倍政権の外交政策の功績としてまず特筆されるのが、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)であり、「クアッド」であった。これは突き詰めれば、冷戦時代からのアメリカと日本とオーストラリアというアメリカの同盟国のネットワークに、21世紀の超大国インドを関わらせるものだった。