図のとおり、黒字を続ける旅行収支(黄色の棒グラフ)はコロナでインバウンドが低迷していたが、円安も手伝って2023年度は急回復し、サービス収支全体の赤字額減少に寄与した(折れ線グラフ)。しかし、観光業は経済全体の生産性向上に寄与する産業ではない。GAFAMのように米経済を牽引する力のあるデジタル産業を基幹産業に育てるべきである。西角は続ける。

日本のデジタル赤字は、海外の巨大企業をますます強くすることにつながっていることも事実です。

分かりやすい例が、国や自治体が使う共通の情報システム基盤「政府クラウド」でしょう 政府が運用管理を行う事業者を応募したところ、当初選定条件を満たせるのは海外企業しかなく、条件を見直すまでは日本企業は応募すらできませんでした。

クラウドはITサービスの一番の基本となるインフラ(社会基盤)です。機密性の高いデータを扱う重要インフラが、日本企業ではなく、海外企業に頼らなければいけない状況は、経済の安全保障の観点からも好ましくありません。

デジタル産業の空洞化を防ぎ、経済の安全を保障する観点からもデジタル敗戦を招いた官民癒着のガラパゴス体質から一刻も早く抜け出す必要がある。