スペイン政府は多額の資金を一部のメディアに投入して政府の広報機関のように変身させている。スペイン国営放送RTVE、通信社EFE、ラジオSER、テレビSEXTA、新聞El País、Vanguardía、デジタル紙Infolibre、Diario.esなどが政府を有利な立場において報道する代表的な機関だ。
サンチェス首相が5日間公務を離れて首相官邸に引き籠るという出来事があった。6日目に首相として継続することを表明した。その日、サンチェス氏はRTVEに出演して彼を贔屓にしている司会者の質問に答えて彼と彼の夫人が一部報道メディアの対象にされてデマを並べ立てていると批判した。
またその翌日にはラジオSERに出演して、彼と夫人に批判的な報道メディアについての批判した。勿論、このインタビューでも、彼と夫人への批判が根も葉もないデマであることを主張した。
しかし、彼が非難している報道メディア、特にデジタル紙に掲載された一連の記事は事実に基づいたもので、十分に裏付け証拠も取っての記事内容である。
それがデマであれば、サンチェス首相夫妻は名誉棄損で法的に訴えればよいはず。ところが、それを実行したことは一度もない。なぜなら、全て事実だからである。しかも、これら一連の記事内容を基にした右派組織マノス・リムピアスが訴訟を提起し、裁判所がそれを受け入れたことでも分かるように、サンチェス氏の夫人を起訴して公判に至る証拠は十分に挙がっているといことだ。だから、サンチェス首相が述べているようなデマではなく、事実である。