安全保障という観点で世界を見た時、戦後の和平バランスが取れた時代から明白に変化しつつあります。ウクライナ問題とイスラエル/ハマス問題はその典型ですが、一部の国家指導者は和平の我慢をしなくてもよいと思うようになり、力による誇示を示すことに価値観を見出そうとしているように感じます。
朝鮮半島の和平バランスも同様かと思います。北朝鮮は長年貧しく、西側諸国からの制裁も厳しく、国民は耐え忍び、軍部は不満を抱える中、若かった金正恩氏は国家指導者として試練の日々でありました。が、金氏が変わり始めたのが何故なのか、明白なるきっかけはわかりにくいのですが、自身の性格がそれまでの守りの姿勢から攻めの姿勢に変わったことは事実です。
その一つに中国の北朝鮮に対するグリップが甘くなったことがあるとみています。かつては北朝鮮は中国の傘下ぐらいであり、北朝鮮のヤンチャも中国という親の前では静かにせざる得ず、中国も飴とムチ的な政策で北朝鮮を手なずけていました。が、習近平氏が金正恩氏に手を焼き、興味が失せたのは昨日今日ではなく、感覚的にはトランプ氏が金氏と何度か会談をした時代から徐々に進んでいったとみています。また、金氏も中国を目の上のたんこぶ扱いで「触らぬ神に祟りなし」的な距離を置く政策を取ってきました。
そこにウクライナ戦争のよる特需が生まれ、北朝鮮が「好景気」になったことで金氏をより強気にさせたことは間違いないとみています。日経によるとロシアがウクライナ戦争に使用する武器、弾薬は北朝鮮から相当量を調達しているとしています。また、金氏にとって自国で作るそれらの兵器がどれだけの威力を発揮するのか試験することが出来、将来的に権威主義国家向けの兵器の大供給網を確立することすらできるのです。